魚釣りが好きな方にとっては馴染みのある赤潮。場合によっては頻繁に遭遇することもあり無視する方も多いですが、赤潮は決して軽視してはいけない存在です。
そこで本記事では、赤潮発生時に釣りをしてはいけない理由と、もし遭遇してしまった時の対処法を解説します。
釣り好きの方は、ぜひ最後までご覧ください。
赤潮とは
赤潮とは、海や川などでプランクトン(主に植物性プランクトン)が急激に増殖した時に海が赤く変色する現象です。
何色に変色するかはプランクトンの種類によりますが、頻繁に発生しやすいのが赤色やピンク色への変色です。
また、川や湖などの淡水で発生することもありますが、主に海水のなかでも陸地に近い内湾などで発生することが多いです。
赤潮は別名「厄水」「苦潮」「腐潮」とも呼ばれ、漢字の通り良い意味の漢字が使用されていません。
その理由は後述しますが、赤潮の発生による被害は大きいので、これらの別名は妥当といえます。
赤潮発生の原因と被害
赤潮の発生は主に汚水が原因となっており、工場排水などの公害から生まれることが多いです。
赤潮が発生しなくても、水中にはプランクトンは生息しており分裂を繰り返しています。
ですが水質汚濁が進んだ水中には、プランクトンがエサとしている栄養塩類(りんや窒素など)が多く含まれているため、プランクトンにとっての栄養が豊富な状態です。
この栄養塩類を食べたプランクトンが一気に増殖することによって、海面がプランクトンの色に変化し赤潮となります。
特に1950年代から1970年代にかけての高度経済成長期に、日本各地で赤潮の発生件数が急増しました。
これは工場からの排水が川や海に流れ出たことが原因だったため、政府は排水に対する規制を強める「水質汚濁防止法」を制定します。
これ以降、赤潮の発生件数は減少傾向に入り、現在はピーク時の3分の1程度にまで減少させることができたといわれています。
赤潮発生による魚への被害
工場排水などを原因とする赤潮は、いわば汚い海の象徴であり、そこに住む生き物に様々な影響を及ぼします。
例えば大量発生したプランクトンが魚のエラに侵入することで、エラが機能障害を起こして絶命してしまいます。
また、プランクトンも生き物なので酸素を必要とします。そのため、大量のプランクトンが水分中の酸素を多く使用することで、魚が酸欠となり絶命してしまうことも多発します。
このように、赤潮発生による魚への被害は軽視することができないものといえるでしょう。
赤潮が発生した海では魚釣りをしない方がいい理由
そんな赤潮ですが、釣り師にとっては珍しくもないよく見る光景だと思います。
しかし、赤潮が発生した海で魚釣りをすることはおすすめしません。
こちらの理由を解説していきます。
釣果が期待できない
先述した通り、赤潮を原因として魚が絶命することは少なくありません。
したがって、その海域では多くの魚が絶命しており釣果が期待できない可能性が高くなります。
加えて、酸素が少ないことに気が付いた魚は酸素が多い場所に移動することもあります。
これらの理由から赤潮周辺には魚の数が比較的少ないため、できるだけ赤潮での釣りは避けるようにしましょう。
有害な魚が釣れてしまう
赤潮内にいるプランクトンの中には、人間にとって有害な個体もいます。
この有害なプランクトンが魚の体に付着する、もしくは貝などのエサを介して魚の体内に入り込むことで、魚自体が有害なものとなってしまいます。
一方で、魚釣りの醍醐味のひとつは、釣った魚を調理して食べることですよね。
つまり赤潮が発生している海域で釣れた魚は有害である可能性が高いため、せっかく釣り上げた魚を食べることは非常に危険です。
キャッチ&リリースを目的としている場合は上記に限りませんが、釣った魚を食べる目的で釣りをしている場合は、赤潮が発生した海域で釣りをするのは避けるようにしましょう。
魚釣りで赤潮に遭遇してしまった時の対処法
では、釣り師が赤潮に遭遇してしまった時はどのような対応をすればいいのでしょうか。
場所を移動してみる
一番おすすめの対処法としては、その場所で釣りをすることを辞めて移動することです。
赤潮は同じ湾内でも、ごく一部のみで発生していることが多くあります。そのため車などで少し移動してみると、その場所には赤潮が発生していないことも珍しくありません。
どうしてもそのスポットで釣りたかった場合は悔しい思いをしてしまいますが、赤潮を避けるためにも赤潮が発生していない場所まで移動するようにしましょう。
日を改める
日を改めることも、赤潮に対する対処法としてはおすすめです。
例えばそのスポットが対象の魚を狙うにあたって最適だった場合、やはりその場所で釣りをしたいもの。しかも多忙な社会人の方であれば時間を作るのも難しいかと思います。
ですが、赤潮はある一定期間のみ発生することが多いので、日を変えたら何の後ろめたさもなくその場所で釣りを楽しむことができます。
したがって、その日に釣ることをせず日を改めるようにしましょう。
家で釣り道具を整理したり、似たポイントで釣りをするプロ釣り師の動画を見たりと、まったり釣り関連の作業を楽しんではいかがでしょうか。
キャッチ&リリースで楽しむ
釣り上げても逃がす楽しみ方であれば、有害な魚の危険性が無くなるため問題ありません。
前述した通り魚が釣れにくいというデメリットはありますが、その日にその場所で釣りを楽しみたい方にとっては、キャッチ&リリースが最適解ではないでしょうか。
良い個体を釣り上げて持ち帰りたい気持ちに襲われても、ぐっと我慢するようにしてくださいね。
赤潮以外の魚釣りにおすすめしない海は?
ここまで赤潮の危険性などに触れてきましたが、実は赤潮以外にも魚釣りで避けた方がいい海があります。
主に2つなので、紹介していきます。
青潮(あおしお)
釣りで避けた方がいい海の1つ目が、赤潮と同じくプランクトンを原因とする「青潮」です。
赤潮発生などで大量の増殖したプランクトンの死骸が海底に沈み、バクテリアがそれを分解する時に大量の酸素を消費します。この時の酸素が少なくなった水を「貧酸素水塊」といい、貧酸素水塊では酸素が苦手な細菌が活発になります。
この細菌によって硫化水素が発生し、硫化水素が台風などの強風で海面に押し上げられたときに酸化することで海面が青色に変化します。
酸素が少なくなると魚の窒息死や、酸素が多い海域に移動する行動など起こるため、青潮が発生している海域では魚が釣れない可能性が高くなります。また、硫化水素を付着させた有害な魚を釣り上げることにも繋がります。
こちらの理由から、赤潮同様に青潮が発生している海域での釣りは避けるようにしましょう。
▼青潮を避けるべき理由一覧
・魚が絶命してしまう
・魚が酸素が多い海域に移動してしまう
・有害な魚が釣れてしまう
水潮(みずしお)
釣りで避けた方がいい海の2つ目が「水潮」です。
こちらは台風などによる大雨で海の上層の塩分濃度が下がっている状態の海を意味します。
大きな川の近くの海や狭い湾などで発生することが多く、低い塩分濃度の海は海水魚にとって天敵であるため、魚が高い塩分濃度の場所に逃げてしまい釣果が期待できません。
一目で水潮と見分けることは困難ですが、大雨の次の日に川の河口付近で釣りをするのは辞めた方がいいでしょう。
もちろん赤潮や青潮のように有害なわけではないため、その場所で粘るのも一つの選択肢です。
▼水潮を避けるべき理由一覧
・魚の元気がなくなる
・魚が高い塩分濃度の海域に移動してしまう
まとめ
釣り師にとっては避けることが難しい赤潮ですが、だからといってその場所で釣りをすることは大変危険です。
解説した対処法を参考にしていただきながら、赤潮を避けて釣りを楽しむようにしていきましょう。
・赤潮=海や川などでプランクトンが急激に増殖した時に海が赤く変色する現象
・赤潮の発生は主に汚水が原因となっている
・赤潮による魚への被害
└エラの機能障害による絶命
└酸欠による絶命
・赤潮で釣りをしてはいけない理由
└釣果が期待できない
└有害な魚が釣れてしまう
・赤潮の対処法
└場所を移動する
└日を改める
└キャッチ&リリースで楽しむ
・赤潮以外の魚釣りにおすすめしない海
└青潮
└水潮