【近年のサンマ不漁の原因】主な理由は温暖化による海水温上昇と外国船?

サンマ漁 トピックス
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秋の味覚の代表格として、日本の食卓を彩ってきたサンマ。

しかし近年サンマの不漁が続いており、供給量減少に伴って価格が高騰しています。

一体なぜ、ここ数年間で水揚げが減少傾向になってしまったのでしょうか?

本記事では、こちらの理由について解説していきます。

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サンマの水揚げ量推移

サンマ水揚げ量推移グラフ

まず、サンマの水揚げ量がどれほど下がってきたのかを見ていきましょう。

サンマの水揚げは2008年の343,225トン以降、減少傾向にあります。特に2019年の水揚げ量は40,517トンしかなく、これは2008年の約10分の1、過去最低を記録しました。

しかも2020年の水揚げ量はそれ以上に不漁となるかもしれず、過去最低記録を再び更新する可能性が高いとされています。

1960年前後では年間の水揚げ量が600,000トンを超える年もあったサンマ漁ですが、ここ10年では200,000トンを下回ることが当たり前となっており、長い期間で見ても大幅に落ち込んできていることが分かります。

【追記】2020年のサンマ水揚げ量は29,566トン(前年比27%減)で、過去最低記録を更新しました。

サンマ不漁の2つの原因

では、なぜこのようにサンマの水揚げ量が減少してきているのでしょうか。

その原因としては、主に温暖化による海水温の上昇外国船のサンマ漁への参入の2点が大きいと言われています。

ひとつずつ解説していきます。

サンマ不漁の原因(1):温暖化による海水温の上昇

サンマの回遊ルート

日本でサンマ不漁が続いている原因の1つ目としては、温暖化の影響で日本周辺の海水温が上昇したことが挙げられます。

サンマは回遊魚であるため一年をかけて広い範囲の海域を泳いで回り、8月~11月頃にかけて南下を始める魚です。

特に日本の伝統的なサンマの漁場にやって来るのは8月以降で、この時期以降に捕れるサンマが旬を迎えます。

しかしこのような回遊ルートを辿るのはあくまでも一昔前のことで、日本周辺の海水温が今よりも若干低い時のサンマの行動です。

サンマは低い海水温を求めて回遊しているので、温暖化に伴って日本周辺の海水温が上がると、サンマは日本の近くではなく遠くの海をルートにして南下をしてしまいます

それでも日本周辺を全く通らなくなるわけではないので水揚げ量が0にはなっていませんが、その数は大幅に減ってしまうので海水温の上昇に比例してサンマの水揚げ量は減少してきました。

回遊ルートが変わったら遠方まで漁に行けばいいのか?

ここでよくでる疑問として「サンマのルートが変われば、その離れた海域まで釣りに行けばいいのではないか?」というものがあります。しかし、現実はそう甘くありません。

なぜなら離れた場所まで漁に行くためには、時間コストと燃料コストが必要となるからです。

時間コストというのは釣り上げたあと水揚げするまでの時間のことで、これが長くなるとサンマの鮮度が落ちてしまいます。

これでは市場で売れづらくなり、価格を下げて取引するしかなくなります。結果的に採算が合わなくなるので、漁師は漁に行く意味がなくなってしまうのです。

一方で、燃料コストは移動距離が長くなれば消費する燃料も大きくなります。

これでは一匹当たりの単価が安いサンマでは採算が合わないため、時間コストと同様に漁に行く意味がなくなってしまいます

つまり遠方までサンマ漁に行けば利益を出すことができないため、近場までサンマに来てもらうしか市場に流通させる方法がないということになります。

ひいては海水温の上昇に伴うサンマの回遊ルートの変化は、日本のサンマ文化に大打撃を与えてしまうのです。

サンマ不漁の原因(2):外国船の参入

外国漁船

日本でサンマ不漁が続いている原因の2つ目としては、中国や台湾などの外国漁船がサンマ漁に参入し始めたことが挙げられます。

サンマは秋の味覚として古くから日本に定着していましたが、外国ではあまり食べられていませんでした。

しかし近年中国や台湾といった国でサンマの人気が高まり、それに伴いサンマ漁に参入する漁船が増え、日本のサンマの漁獲枠が減ってしまいました。

加えて、日本人は脂のノったサンマを好みますが、外国では健康志向に則って脂の少ない小さなサンマも人気が高いです。

脂の少ないサンマとは旬を迎えて日本にたどり着く前のものを指すため、結果的に日本の漁獲できる数が減っているのです。

一概に外国船を不漁に原因にしてはいけない

一方で「日本のサンマ不漁の原因を外国に押し付けていいのか?」という議論もしばしば見られます。

こちらはまさにその通りであり、ひとえにサンマ不漁の責任を”外国船の参入”とするのは暴論です。

なぜなら、中国や台湾の人々もサンマを食べたいから。ニーズがあるなら漁に出るのが、漁師の仕事です。

もちろん日本の漁場に侵入していたのであれば問題ですが、自由な海域(公海)での漁であるため何も悪いことはしていません。

外国船参入はあくまでも一つの要因と捉え、各国で協力・分け合いながらサンマ漁をしていくべきではないでしょうか。

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安定供給のためのサンマ養殖はできないのか?

サンマ養殖イメージ

このような理由からサンマの不漁は長年続いています。

「だったら養殖して安定供給を図ればいい」と思いませんか?

しかしそれは技術的に難しいというのが現状です。

水族館でサンマを展示しているのを見たことがないことから分かる通り、サンマは養殖よりも簡単な飼育でさえも難しいといわれる魚です。

加えて、サンマは一匹の単価が安い大衆魚。莫大な費用をかけて養殖しても、売値との採算が合わず赤字事業になってしまいます

そのため、現時点では養殖のサンマが市場に流通するのはまだ先の話であると言わざるを得ません。

しかし希望の光は見えており、福島県いわき市にある水族館「アクアマリンふくしま」が、2019年に世界で初めてサンマの展示に成功しました。

成功要因としては、
・サンマが卵を産み付ける藻を海から取ってきて幼魚から育てたこと
・光に集まる習性と回遊する習性を利用して水槽の周りをぐるぐる回す仕組みを作ったこと
などが挙げられ、これは画期的な進歩です。

しかし、それでもまだ展示に成功したレベルであるため、食用魚として大量生産することは不可能です。

したがって「サンマ不漁が続くから代わりに養殖のサンマに注力する」ということは、現時点ではできないということになります。

サンマの水揚げが盛んな漁港

最後に、日本においてサンマの水揚げが盛んな漁港を紹介します。

上述した通り、サンマは8月~11月頃にかけて日本沖を南下し始める魚です。

そのため、旬を迎える時期に通過する北海道・東北にサンマ漁が盛んな漁港が集まっています

・北海道…花咲港(16,106t)、厚岸港(3,952t)、釧路港(1,275t)
・岩手県…大船渡港(6,400t)、宮古港(892t)、釜石港(793t)
・宮城県…気仙沼港(5,380t)、女川港(4,563t)
・福島県…小名浜港(489t)
・千葉県…銚子港(620t)
※()は2019年の水揚げ量
※引用:全国さんま棒受網漁業協同組合

さらにサンマの漁獲量ランキングでは、1位北海道 2位宮城県 3位岩手県と、いずれも漁獲量が多い港を有する道県が上位を占めています。

サンマは鮮度が良いほど美味しい魚であるため、上記の港まで足を運ぶのもいいかもしれませんね。

 

ざっくりポイント
・サンマの水揚げ量は2008年の343,225t以降減少傾向にある
・2019年の水揚げ量は過去最低を記録し、2020年はそれ以上に不漁になる可能性が高い
・サンマ不漁の原因の1つ目は「温暖化による海水温の上昇」
・サンマ不漁の原因の2つ目は「外国船の参入」
・サンマの養殖は難易度が高いため、現時点では技術的に難しい
・サンマ水揚げが盛んな漁港は北海道・東北に集まっている
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