【卸売業者と仲卸業者の違い】それぞれの仕事内容と役割を解説

築地場外市場 魚の雑学
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魚や野菜などの生鮮食品の流通において、卸売市場は重要な役割を持ちます。

そんな卸売市場の中では、「卸売業者」と「仲卸業者」がメインとなって仲介・売買をしています。

そこで本記事では、生鮮卸売市場における卸売業者と仲卸業者の役割と違いについて解説します。

※「卸売業者」は定義が幅広いため、こちらでは卸売市場における卸売業者について解説します。

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卸売市場とは

卸売市場

本題に入る前に、より理解ができるように卸売市場について解説します。

卸売市場とは、生鮮食品を生産する供給者と、生鮮食品を購入する卸売業者・仲卸業者・小売業者などの需要者を繋ぐ市場のことです。

主に魚などの水産物・野菜や果物などの青果物・花などの花きを扱い、これらが流通するうえで重要な役割を果たしています。

卸売市場は「中央卸売市場」「地方卸売市場」の2つに分けられます。

中央卸売市場とは、農林水産省の認可によって地方自治体が開設・農林水産省が監督する卸売市場のことです。2018年に開設された豊洲市場や、札幌市中央卸売市場などがこちらに該当します。

対して地方卸売市場は、都道府県知事の認可によって各都道府県に設置される卸売市場のことです。東京都国立地方卸売市場や苫小牧市公設地方卸売市場などのように、正式名称には「○○地方卸売市場」と付けられています。

生鮮卸売市場における卸売業者と仲卸業者との違い

卸売業者と仲卸業者の違いの図

それでは、本題に入ります。

卸売業者と仲卸業者の最も大きな違いは、どこから仕入れてどこに卸すかで分けられます。

卸売業者は、生産者・出荷業者・出荷団体から商品を仕入れて、卸売市場内の仲卸業者や小売業者などに卸すのが主な仕事です。

対して仲卸業者は、卸売市場へと商品を運んできた卸売業者から仕入れて、購入を希望している卸売市場外の小売業者・飲食店に卸すのが主な仕事です。

したがって、卸売市場の中に商品を流通させるのが卸売業者卸売市場の外に商品を流通させるのが仲卸業者であり、こちらが両者の違いとなります。

卸売業者の仕事内容

卸売業者の運転イメージ

卸売業者の仕事は主に2点です。

①生産者・出荷業者・出荷団体(農協など)から商品を仕入れる

卸売業者の仕事は、卸売市場外から商品を仕入れることから始まります。

仕入れ先は、漁師さんや農家さんといった生産者、生産者から生鮮食品を仕入れて卸す出荷業者、農協などの出荷団体といった方々から。

「生産者Aは卸売業者Aに依頼する」といったように、決まった取引先があることが一般的です。

②卸売市場で仲卸業者などにせりで販売する

商品を仕入れた後は、卸売市場内の仲卸業者や小売業者に販売します。

この時の販売方法としては、競り(せり)による販売が一般的。競りとは、ある商品を買いたい業者が複数いた場合に、最も高値での購入を提示した業者に販売する方法です。

こうして、仕入れた商品を卸売市場内の業者に販売する(届ける)までが、卸売御者の仕事です。

仲卸業者の仕事内容

競り

仲卸業者の仕事も主に2点です。

①卸売業者から商品を仕入れる

仲卸業者の仕事は、卸業市場内で卸売業者の商品を購入することから始まります。

仕入れをしないと仲卸業者は商品が手元にないので、卸売市場が開催する競りに参加して商品を仕入れます。

また卸売市場内の競りに参加するには、売買参加者としての資格が必要になります。

②卸売市場内の仲卸店舗にて小売業者や飲食店に販売する

競りで商品を仕入れた後は、商品を販売先(小売業者や飲食店)からの発注にあわせて小分けし、配送します。

また、販売先が直接卸売市場内まで足を運び、購入して持ち帰る場合もあります。

一般の消費者でも購入することは可能ですが、仲卸業者は○kg以上のように大口単位から購入する必要があるので、業者に向けた販売がほとんどです。

卸売業者と仲卸業者の役割

漁師さん

まとめると、卸売業者と仲卸業者の役割は、流通面で生産者と消費者を繋ぐことです。

ですが、スーパーやコンビニなど力の強い小売業者の独自の仕入れルート開拓や、インターネットを活用した生産者と消費者の直接的なアプローチにより、仲介者である卸売業者と仲卸業者の介在価値が弱くなりつつあるのが現状です。

では、卸売業者や仲卸業者は不要になるのかというと、そうではありません。

例えば、目利きによる品質担保、需要と供給を加味した価格形成などは、卸売業者と仲卸業者が流通の仲介役を担う価値といえます。

また、生産者の誰しもが独自の販売体制を構築できるわけではありません。そういう面でも、卸売業者や仲卸業者の存在は、生産者の販売面をサポートしていることになります。

そのため、どちらが良いというわけではなく相互的に補完できるような関係を維持しながら、生鮮食品の流通を支えていくことが、今後の日本にとって必要なことではないでしょうか。

 

ざっくりポイント
・卸売市場は、生鮮食品などを生産する供給者と、生鮮食品を購入する卸売業者、仲卸業者、小売業者などの需要者を繋ぐ市場のこと
・卸売業者と仲卸業者の最も大きな違いは、卸売市場の外から卸売市場へ商品卸しているか、卸売市場から卸売市場の外へと商品を卸しているか
・卸売業者は、生産者・出荷業者・出荷団体から商品を仕入れて、卸売市場内の仲卸業者や小売業者などに卸すのが主な仕事
・仲卸業者は、卸売市場へと商品を運んできた卸売業者から仕入れて、購入を希望している卸売市場外の小売業者・飲食店に卸すのが主な仕事
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