「海生哺乳類」「海獣」という言葉を聞いたことがありますか?
こちらは魚類ではありませんが、魚たちと同じく海で生活する生物です。
そこで本記事では、海生哺乳類(海獣)について解説します。
※海生哺乳類と海獣は同じ意味なので、本文中では「海生哺乳類」で統一します。
・海生哺乳類(海獣)の定義を知りたい方
・海生哺乳類(海獣)の代表種を知りたい方
・海生哺乳類(海獣)の3つの分類を知りたい方
・なぜ海生哺乳類(海獣)が水中で生きられるか知りたい方
海生哺乳類・海獣の定義
海生哺乳類とは、海に生息している哺乳類のことです。
この定義は、あくまでも性質・形質による分類であり、学術上の分類ではありません。
したがって、主に漁業や水族館などの業界用語として使用されます。
海生哺乳類・海獣の代表種
海生哺乳類は大きく分けて、クジラ類・鰭脚類(ききゃくるい)・海牛類・その他の4つに分類されます。
数多くいる中でも、代表種は以下が該当します。
・鰭脚類…アザラシ、セイウチ、アシカ
・海牛類…ジュゴン、マナティー
・その他…ラッコ、ホッキョクグマ
クジラを見たことがある方は少ないかもしれません。
しかし、それ以外の海生哺乳類は水族館で人気が高いため、見たことがある方も多いでしょう。
海生哺乳類の種類
同じ海生哺乳類でも、海への適応力によって
①常時海中で生息する種
②海中と陸上で住み分ける種
③常時陸上で生息するが、場合によって海中で遊泳する種
の3種に分類されます。
それぞれ詳細に見ていきましょう。
①常時海中に生息する種
こちらに該当するのが、クジラ類と海牛類です。
一生を海中で過ごし、海での生活に完全に適応している反面、陸上で生きていくことができません。
常時海中に生息している点は魚類と同じであるため、魚の一種と間違って認識されるケースが多いですが、私たちと同じ哺乳類の仲間です。
②海中と陸上で住み分ける種
こちらに該当するのが、鰭脚類やラッコなどです。
一生の大部分を海中で過ごしエサは海中で調達する種ですが、繁殖期になれば陸上へと移動します。
③常時陸上で生息するが、場合によって海中で遊泳する種
こちらに該当するのが、ホッキョクグマです。
エサの捕食や外敵から逃れる際に海中を遊泳しますが、基本的には陸上で生活します。
そのため海獣には含まれないこともありますが、「海に生息する哺乳類」という観点から見ると該当するといって問題はありません。
海生哺乳類・海獣でも水中に居続けられるわけではない
ここで海生哺乳類の中でも誤解されることの多いものに触れておきます。
それが「クジラやイルカなどはいつまでも潜水することができる」という間違った認識です。
「常時海中で生息する種」に属するクジラ類や海牛類でも、常に潜水していられるわけではありません。
哺乳類であるということは、魚類のような「エラ呼吸」ではなく私たちと同じ「肺呼吸」で酸素を取り込みます。
常時海中で生息する種(クジラ類と海牛類)でも、常に潜水していられるわけではなく、体内に酸素が足りなくなれば水面に出て呼吸をする必要があります。
ですが、私たち人間など哺乳類との大きな違いは、潜水可能時間(酸素を取り込んでから次に呼吸するまでの時間)が圧倒的に長いという点です。
人間であれば平均1分前後ですが、クジラやアザラシなどは1時間以上潜水することができる種類もいます。
呼吸しているイメージがないことから「クジラやイルカはいつまでも潜水することができる」という認識を持つことが多いです。しかし海生哺乳類でも、私たちと同じく水面までのぼって酸素を取り込んでいるということを認識しておきましょう。
・海生哺乳類(海獣)とは、海に生息している哺乳類のこと
・海生哺乳類には、クジラ類・鰭脚類・海牛類・その他(ラッコ・ホッキョクグマ など)が該当する
・同じ海生哺乳類でも、海への適応力によって①常時海中で生息する種 ②海中と陸上で住み分ける種 ③常時陸上で生息するが、場合によって海中で遊泳する種 3つに分類される
・海生哺乳類でも肺呼吸をしているので、常時水中に居続けることはできず、定期的に水面に出て酸素を取り込む必要がある