【クジラ2分類】ヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目の違いを解説!

クジラの尾 魚の雑学
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海に住む哺乳類の代表格ともいえるクジラ。迫力のある大きな体が海を泳ぐ姿は圧巻です。

そんなクジラですが、大きく2つのグループに分けられることをご存知でしょうか。

本記事では、クジラの分類について解説していきます。

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クジラの2分類について

ヒゲクジラとハクジラ

「クジラ」というのは、厳密にはクジラ目(クジラ類)に該当する哺乳類のことを指します。

そして、クジラ目は2つのグループに分類され、それぞれヒゲクジラ亜目ハクジラ亜目に分けられます。

もともとは上記2分類に加えて「原クジラ亜目」を含めた3分類でしたが、現在は該当種が全て絶滅しました。

そのためクジラ目の下位分類階級には、現在「ヒゲクジラ亜目」と「ハクジラ亜目」の2亜目のみとなり、これに例外はありません。

ヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目の違い

それでは本題に入ります。

クジラ目の下位分類階級に位置するヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目には、大きな違いが3点あります。

それぞれ解説していきます。

ヒゲクジラ亜目はひげ板があるが、ハクジラ亜目には無い

ヒゲクジラのひげ板
(出典:https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXNASDB21001_21062014000000)

1点目の違いは、ひげ板の有無です。

ヒゲクジラ亜目は「ひげ板」という部位を有していますが、ハクジラ亜目にはありません。

このひげ板は上あごの皮膚が発達してできた部位で、髪をとく「くし」のような見た目の繊維です。

そしてこのひげ板は、ヒゲクジラ亜目がエサを捕食する時に活用します。

ひげ板は海水や泥は通しますが、プランクトンや小魚は通しません。

この仕組みを活用して、クジラはまず海水や泥とエサをまとめて口に入れます。その後、それを吐き出す際にエサだけを口内のひげ板にひっかけ、海水や泥だけを口外に分離させます

この方法はフィルターを通して不要なものを取り出す流れと似ているため、しばしば「こしとる」とも表現されます。

ヒゲクジラ亜目の「ヒゲ」の由来はひげ板からきているので、覚えておきましょう。

ヒゲクジラ亜目には歯が無いが、ハクジラ亜目には歯がある

マッコウクジラ像

2点目の違いは、歯の有無です。

ヒゲクジラ亜目には歯がありませんが、ハクジラ亜目は人間と同じように歯を有しています。

ハクジラ亜目が持つ特筆すべき歯の特徴は、
・全て同じ形の歯で構成されている
・全ての歯は生涯を通して生え変わることがない
・本数は種類によって異なり、数本~数百本まで様々
の3点です。

原則、ハクジラ亜目の歯はかみ砕くためにあるのではなく、口内に捉えたエサを逃さないために活用します。

一方でシャチなどのように大きなエサを捕食する種に限っては、かみ砕くために活用する場合もあります

ハクジラ亜目の「ハ」の由来も、特徴である「歯」から来ているので覚えておきましょう。

噴気孔がヒゲクジラ亜目には2つあるが、ハクジラ亜目には1つしかない

クジラの潮吹き

3点目の違いが、噴気孔の数です。

噴気孔(ふんきこう)とは気体を噴き出す役割を持ち、クジラ目の鼻の穴に該当する器官です。

自由自在に開け閉めが可能で、水中に潜る時には閉じ、水中から顔を出して呼吸をする時には開けることで、中に水が入らないようにしています。

この噴気孔が、ヒゲクジラ亜目には2つありますが、ハクジラ亜目には1つしかありません。

数によって呼吸法などに大きな違いはありませんが、ヒゲクジラ亜目は2つでハクジラ亜目は1つということはおさえておきましょう。

ヒゲクジラ亜目に分類される代表種

ザトウクジラのブリーチング

ヒゲクジラ亜目で特に有名なのは「シロナガスクジラ」「ザトウクジラ」です。

シロナガスクジラの特徴は、何といってもその巨大な体。世界最大の生き物としても知られており、クジラの中でも特に有名であるといえます。

ザトウクジラの特徴は、海から体を勢いよく出して海面に叩きつけるブリーチングです。他にもブリーチングをするクジラはいますが、ザトウクジラのものが最も豪快と言われています。そのため、よく見る写真や映像のブリーチングをしているクジラは、ザトウクジラであることが一般的です。

ヒゲクジラ亜目はハクジラ亜目よりも大きい個体が多いので、どちらも非常に大きなサイズですね。

ハクジラ亜目に分類される代表種

イルカの歯

ハクジラ亜目に分類される代表的な種は、「マッコウクジラ」「イルカ」「シャチ」です。

マッコウクジラは、歯のある動物として世界最大の生き物です。大きな頭部が全面から潰されたように角ばっているのが特徴的です。

またあまり知られていませんが、イルカとシャチはクジラ目ハクジラ亜目に該当するクジラの一種です。

クジラとの違いは大きさだけで、クジラの中でも体長4m以下の種をイルカと呼び、体長4m~8mほどの種をシャチと呼ぶことが多いです。

ただ、この定義は学術的な分類ではなくあくまで目安なので、「小さいハクジラ亜目の一種がイルカ」「中サイズのハクジラの一種がシャチ」と覚えておきましょう。

※詳しくは「【サイズだけ?】クジラ・イルカ・シャチの違いを解説!」の記事をご覧ください。

クジラはひげ板を持つか歯を持つかで容易に分類できる

ここまで読んでいただけると、クジラの分類は容易にできるようになったかと思います。

それぞれの名前にも冠している通り、ひげ板を持つクジラがヒゲクジラ亜目歯を持つクジラがハクジラ亜目です。

特に歯の有無は外見で判断できるので、今後はどちらに分類されるかを意識しながら見てみてはいかがでしょうか。

 

ざっくりポイント
・クジラ目は2つのグループに分類され、それぞれ「ヒゲクジラ亜目」と「ハクジラ亜目」に分けられる
・ヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目の大きな違いは3点
①ヒゲクジラ亜目はひげ板があるが、ハクジラ亜目には無い
②ヒゲクジラ亜目には歯が無いが、ハクジラ亜目には歯がある
③噴気孔がヒゲクジラ亜目には2つあるが、ハクジラ亜目には1つしかない
・ヒゲクジラ亜目に分類される有名な種はシロナガスクジラ
・ハクジラ亜目に分類される有名な種はマッコウクジラとイルカとシャチ
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