子供から大人まで、幅広い世代に人気のしらすとちりめんじゃこ。
ですが、どちらも見た目は似ているのに違う名前なのはなぜでしょうか?
そこで本記事では、しらすとちりめんじゃことの違いについて解説します。
しらすは何の魚の稚魚か
本題に入る前に、しらすやちりめんじゃこが何の魚の稚魚かを解説します。
しらす(ちりめんじゃこ)はイワシの稚魚です。
イワシにも複数の種類が存在しますが、主に使用されるのがカタクチイワシの稚魚で、他にもマイワシやウルメイワシなどの稚魚であることもあります。
また、船で網を引いて漁獲する方法が一般的なので、同時に捕れた小さいタコなども同じ商品として入っている場合もあります。
しらすとちりめんじゃこの違い
それでは、よく混同してしまう、しらすとちりめんじゃこの違いについて解説します。
これらの呼び方は、加工段階と乾燥させることによる水分量の違いによって異なり、生しらす・釜揚げしらす・しらす干し・ちりめんじゃこの4つの呼び方があります。一つずつ見ていきましょう。
生しらす
生しらすとは、水揚げされた状態のままのしらすのことを指します。
茹でや乾燥などの加工を一切していないため、文字通り「生のままのしらす」ということになります。
劣化が非常に早く傷みやすいので、内陸県やしらすが漁獲されない地域ではあまりお目にかかることができません。
釜揚げしらす
釜揚げしらすとは、「生しらす」を塩茹でしたものを指します。
茹で時間は業者によって異なりますが、平均3分~5分ほどさっと茹でることが多いです。
また、茹で汁を含んだままだと傷みが早くなるので、茹で汁を蒸発させるために軽く乾燥させる場合もあります。
ですが、これから紹介する「しらす干し」や「ちりめんじゃこ」との違いは、釜揚げしらすは”塩茹でしただけで主に乾燥させていない“という点なので、覚えておきましょう。
しらす干し
しらす干しとは、「釜揚げしらす」を乾燥機械や天日干しで乾燥させた、水分量約60~70%のしらすを指します。
上述した釜揚げしらすも乾燥させる過程をふむことがありますが、それよりも長い時間かけて水分を抜くので、釜揚げしらすよりも含有水分量が少ないのが特徴です。
ちりめんじゃこ
ちりめんじゃことは、「釜揚げしらす」を乾燥機械や天日干しで乾燥させた、水分量約30%~50%のしらすを指します。
しらす干しとの違いは、しらすが含む水分量のみ。多くの水分を蒸発させているので、乾燥させたしらすといえばちりめんじゃこです。
水分量と賞味期限の関係
しらすは水分を多く含み生に近ければ近いほど鮮度の落ちが早くなり、賞味期限が短くなります。
・釜揚げしらすの賞味期限…3日程度
・しらす干しの賞味期限…3日~5日程度
・ちりめんじゃこの賞味期限…1週間程度
このように、乾燥度合いによって徐々に賞味期限がのびていくのがしらすの特徴。
特に生しらすは賞味期限が1日しかもたないので、淡路島や江ノ島などのようにしらすの産地でないと食べることができません。
冷凍すれば長持ちしますが、どれも凍らせない方が美味しいのでできるだけ期限内に食べるようにしましょう。
しらすの語源
ちなみに、しらすは漢字で「白子」と書きます。
元々「しらす」はイワシだけではなく、ウナギやアユの稚魚など、体の色素が薄い魚の稚魚を総称する言葉として使用されていました。
ですが昨今では、しらすの対象としてウナギやアユの稚魚を指すことは多くありません。したがって、現在は「しらす=イワシの稚魚」と覚えておきましょう。
また、魚関係で「白子」というと精巣を指すことが一般的。有名な「白子ぽんず」は、しらすとぽんずではないので間違えないよう気を付けてくださいね。
魚の精巣を指す「白子」について詳しく知りたい方は「【魚の白子とは】栄養素や下処理の仕方、おすすめの食べ方を紹介」をご覧ください。
・加工段階と乾燥させることによる水分量の違いによって、①生しらす ②釜揚げしらす ③しらす干し ④ちりめんじゃこ の4つに呼び名が変わる
・生しらすとは、水揚げされた状態のままのしらすのこと
・釜揚げしらすとは、「生しらす」を塩茹でしたもの
・しらす干しとは、「釜揚げしらす」を乾燥機械や天日干しで乾燥させた、水分量約60~70%のしらすのこと
・ちりめんじゃことは、「釜揚げしらす」を乾燥機械や天日干しで乾燥させた、水分量約30%~50%のしらすのこと
・しらすは水分量が多く、生に近ければ近いほど鮮度の落ちが早くなり賞味期限が短くなる