刺身とわさびはとても相性が良く、つんとくる感じがクセになりますよね。
ですが、つんとくる感覚はわさびだけでなく、生姜やからしでも同じように感じます。
なのになぜ、魚の刺身にはわさびと相場が決まっているのでしょうか。
本記事では、こちらについて解説していきます。
刺身にわさびをつけ始めた先人の知恵
日本人ははるか昔から刺身を食べていました。
ですが昔は今ほど保存技術が高くなく、冷蔵庫も存在しなかったので魚の鮮度を保つことが困難で生臭さに悩んでいました。
そんな時に先人が思いついたのが、すったわさびを添えて魚の生臭さを消すこと。
さらにわさび独特の辛みは刺身の味を消さずに口にも合う、という利点にも気が付きました。
このように、刺身の味を残しながら生臭さを消すことができるわさびの効果に気が付き、「刺身にはわさび」という通例が生まれたとされています。
刺身にわさびをつける科学的なメリット
しかし現代の科学の発達により、わさびの効果は刺身の生臭さを消すことだけではないことが分かっています。
その効果というのが、わさびの辛味成分である「アリルイソチオシアネート」の抗菌作用です。
別名「アリルからし油」とも呼ばれる成分ですが、こちらには大腸菌やカビといった細菌類の増殖を抑制する抗菌効果や、アニサキスなどの寄生虫の殺菌効果があります。
加えて、魚の生臭さの原因である「トリメチルアミン」を打ち消す効果があることも判明し、先人が見つけた知恵は科学的に効果があると証明されました。
このようにわさびを刺身と合わせることは、「刺身に付着している可能性のある細菌類や寄生虫の抗菌・殺菌できる」「魚の生臭さを消せる」ということが科学的に証明されました。
刺身にわさびが通例となった時期
魚の刺身にわさびを添えるようになったのは、江戸時代以降といわれています。
そのきっかけは、江戸時代後期の文政時代に江戸で握り寿司が一気に普及したこと。
これを機に寿司にわさびを添える文化が始まり、そこから派生して刺身にもわさびを付けるようになりました。
今では刺身や寿司にかかせないわさびですが、江戸時代以降日本人が培ってきた文化ともいえるので、大切にしていきたいですね。
・もともとは魚の鮮度落ちによる生臭さを消すために、わさびをそえていた
・科学的に、わさびの辛味成分である「アリルイソチオシアネート」には大腸菌やカビといった細菌類の増殖を抑制する抗菌効果や、アニサキスなどの寄生虫の殺菌効果があることが判明
・魚の生臭さの原因である「トリメチルアミン」を打ち消す効果があることも判明
・からしや生姜よりも口にあうこともあり、「刺身にはわさび」ということが通例となった
・魚の刺身にわさびを添えるようになったのは、江戸時代後期に江戸で握り寿司が一気に普及したため