猫は肉食動物であるため、魚が大好きです。
その中でも「マグロ」は人間でも美味しいと感じるほどなので、猫もとても美味しそうに食べます。実際、マグロを原料としたキャットフードなども多く販売していますよね。
一方で「美味しそうに食べてはいるが健康に害はないの?」「刺身で食べさせても良いの?」という声が多く見受けられます。
そこで本記事では、猫にマグロを食べさせることは問題ないのか、という点について解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
・猫にマグロを食べさせるメリットを知りたい方
・猫にマグロを食べさせる際の注意点を知りたい方
・刺身のマグロと加熱したマグロ、どちらを食べさせるのが良いか知りたい方
猫はマグロを食べても大丈夫な生き物
まず最初に、結論を申し上げます。
猫はマグロを食べても問題ありません。
もし食べたそうに見ているのであれば、飲み込みやすいサイズにして食べさせてあげましょう。
「刺身」で食べさせるのは問題ない?
また、マグロを刺身で食べさせることも問題ありません。
ただし、刺身で食べさせる場合にはアニサキスが寄生するリスクが伴うことを認識しておきましょう。
アニサキスとは、主に海水魚の内臓や筋肉に潜む寄生虫であり、寄生している身を食べることで人間や猫の体内に移ります。体内に寄生されてしまうと、激しい痛みや嘔吐下痢を発症します。
アニサキスは目視でも確認できるサイズですが、素人は見落としてしまう可能性があります。また、鮮度の悪いマグロの場合、アニサキスが筋肉の深部に移動するため見つけるのが困難になります。大前提、鮮度の悪いマグロは大切な猫ちゃんに与えないことを徹底しましょう。
また、加熱処理や冷凍処理をすることで、アニサキスを完全に死滅させることも可能です。少し手間がかかりますが、「しっかり中まで火を通したマグロ」もしくは「冷凍したマグロ」を与えることも、選択肢に入れておくと良いですよ。
猫がマグロを食べるメリット=栄養素が豊富
猫がマグロを食べることは、猫の「美味しい」という一時的な幸せを感じるだけでなく、様々な栄養・健康上のメリットがあります。
マグロには、猫に効果のあるどんな栄養素が含まれているのでしょうか。
一つひとつ見ていきましょう。
タンパク質が豊富に摂れる
マグロを食べることで、タンパク質を豊富に摂ることができます。
タンパク質は骨・被毛・筋肉などをつくる、動物にとって重要な栄養素です。
特に肉食動物である猫にとっては、動物性タンパク質が人間の数倍も必要となります。
マグロは運動量の多い回遊魚であるため、多くの魚よりもタンパク質含有量が多い傾向にあります。
したがって少量でも豊富な動物性タンパク質を摂取できるのは、マグロを食べるメリットの1つといえるでしょう。
タウリンが摂れる
マグロを食べることで、タウリンを摂ることができます。
人間や犬は体内でタウリンを合成することができる一方、猫は体内で合成することができないため、食事からタウリンを摂らなければなりません。猫にとっては必須栄養素なので、ほとんどのキャットフードにはタウリンが含まれているほどです。
タウリンが不足すると、肝臓や心臓、目などに障害が発生するリスクが伴います。その点でも、美味しさとタウリンを同時に補給できるマグロは、猫にとって好ましいと言えるでしょう。
DHA・EPAが適量摂れる
マグロを食べることで、DHA・EPAを適量摂ることができます。
魚に多く含まれ、人間の健康に良いとされるDHA・EPAですが、猫の健康にも重要な役割を果たす栄養素です。特に猫は腎臓系の病気にかかりやすい生き物なので「適量」を摂らせてあげましょう。
ただし、こちらに関しては与えすぎに注意してください。※詳しくは後述します。
補足ですが、青魚はDHA・EPAを多分に含んでいるため、人間の健康には良いですが猫には適していません。青魚を猫に与えるのはNGと覚えておきましょう。
猫にマグロを与える際の注意点
このように猫にマグロを与えることは、様々なメリットがあります。
一方で、注意しなければならない点もいくつかございます。
大切な猫ちゃんのために、全て把握しておくようにしましょう。
与え過ぎは避ける
猫にマグロを食べさせる際の注意点1つ目は、与え過ぎは避けることです。
マグロは質の高いキャットフードと比較して、高カロリーな食べ物です。そのため、与え過ぎることで肥満に繋がる可能性があります。
また、マグロは「チアミナーゼ 」と呼ばれる酵素が含まれており、食べ過ぎると猫の体内のビタミンB1を分解し「チアミン欠乏症」を発症する恐れがあります。発症し重症化すると、運動失調や神経失調などが起こるため注意が必要です。
さらに、DHA・EPAを含む「不飽和脂肪酸」が猫の体内に蓄積することで発症する「黄色脂肪腫(イエローファット)」になるリスクも伴います。前述した通り、DHAとEPAは適量であれば問題ありませんが、摂らせすぎに注意してください。
これら(肥満・チアミン欠乏症・イエローファット)は、多量のマグロを食べた場合に伴うリスクです。少量であれば構わないので、与え過ぎに注意しつつ、たまに食べさせてあげましょう。
アレルギー反応に注意する
猫にマグロを食べさせる際の注意点2つ目は、アレルギー反応に注意することです。
特定の猫には、魚アレルギーを持っている場合があります。
猫はアレルギー原因の特定は困難とされていますが、マグロを食べた後に下痢や嘔吐をしているなら魚アレルギー反応の可能性が否めません。
食べさせた後は、様子を気にかけてあげるようにしましょう。
醤油や塩など調味料で味付けをしない
猫にマグロを食べさせる際の注意点3つ目は、味付けをしないことです。
人間が食べているのを美味しそうに見てくると、そのまま味付けをしたマグロを与えてしまうことは少なくありません。しかし少量の塩分でも、体の小さな猫にとっては塩分過多です。
猫に与える用のマグロには味付けをしないこと、また元々味付けをしてしまっている場合は手間がかかりますが水洗いで調味料を落としてあげましょう。
鮮度が悪いマグロの刺身は食べさせない
猫にマグロを食べさせる際の注意点4つ目は、鮮度が悪いマグロの刺身は食べさせないことです。
こちらは前述した通りですね。鮮度が悪いマグロはアニサキスを見つけることが難しくなり、その分感染リスク高くなるため注意が必要です。
トロ部分は食べさせない
猫にマグロを食べさせる際の注意点4つ目は、マグロのトロ部分は食べさせないことです。
マグロのトロ部分(脂身)には不飽和脂肪酸、つまりDHAとEPAが多く含まれています。
そのためトロ部分を少量食べるだけでも、DHAとEPAの過剰摂取に繋がり、「黄色脂肪腫(イエローファット)」になる恐れがあります。
マグロを食べさせる際には、赤身部分を与えるようにしましょう。
生の刺身と加熱したマグロではどちらがいいのか?
最後に、マグロを食べさせることに関して最も多い疑問「マグロは刺身と加熱したもの、どちらがいいのか?」について解説します。
結論、マグロに限らず魚を猫に食べさせる場合には、生の刺身よりも加熱処理をした焼き魚や茹でた魚を食べさせるが好ましいです。
加熱処理をすることで、アニサキスを始めとした寄生虫リスクを完全に予防することができます。また、加熱処理することで「チアミナーゼ 」が不活性化するため、注意点でも紹介した「チアミン欠乏症」を防止することも可能です。
少し手間がかかってしまいますが、大切な猫ちゃんのためです。できるだけ加熱処理をしてあげましょう。
※魚を加熱するメリットやポイントは、以下の記事で詳細に解説しています。併せてご覧ください。
まとめ
猫はマグロが好きです。そのため、愛猫がマグロを欲してくることも多いのではないでしょうか。
そんな時には我慢させるのではなく、注意点を遵守しつつ与えてあげるのも猫の幸せにためには良いかと思います。
ただし猫に食べせてはいけない魚もいるので、それらは必ず把握しておきましょう。「マグロがいいなら他の魚も…」という考えは禁物です。
猫の10数年の人生を少しでも良くしてあげられるよう、我々人間ができることを模索していきたいものですね。
・猫にマグロを食べさせても大丈夫(刺身も可)
・猫にマグロを食べさせるメリット
└タンパク質が豊富に摂れる
└タウリンが摂れる
└DHA・EPAが摂れる
・猫にマグロを食べさせる際の注意点
└与え過ぎは避ける
└アレルギー反応に注意する
└醤油や塩など調味料で味付けをしない
└鮮度が悪いマグロの刺身は食べさせない
└トロ部分を食べさせない
・できるだけ刺身よりも加熱したマグロを食べさせよう