体内で電気を作り出すことで有名な電気ウナギ。
捕食しにきた大型のワニでさえも感電させられるほどの電気を生成することができます。
しかし、本来電気はコイルや磁石を使用して生成するもの。
生物であるウナギの体内で発電できる理由が気になる方も多いと思います。
そこで本記事では、電気ウナギの発電の仕組みを誰でも分かりやすいように解説していきます。
電気ウナギの生態
電気ウナギは、アマゾン川をはじめとした南アメリカの河川に生息しています。
体長は最大約2.5メートル、体重は20キロを超える個体も存在します。
真っ直ぐピンと伸ばした場合、人間よりも大きな身体をしているため実物を見ると圧倒されます。
捕食対象は主に魚ですが、トカゲなどの両生類や鳥もエサとしており、なんでも食べる雑食の肉食種です。
電気ウナギの発電の仕組み
それでは、生物である電気ウナギが発電できる仕組みを解説していきます。
実は、人間や鳥など全ての生物は、動いている時(筋肉を動かしている時)に微量の電気が発生しています。これを”発電”と呼ぶにはあまりにも僅かな電気ですが、生物は共通して発電させることができるのです。
対して、電気ウナギの場合は尾の筋肉が発達してできた発電器官を有しており、この器官を利用して強い電気を生成させることができます。
加えて、電気ウナギの体は約90%が尾でできているので、体のほとんどが発電器官で構成されていることになります。
電気ウナギの発電器官が電気を生み出せるのはなぜ?
しかし、仕組みは分かってもなぜ筋肉で発電できるのか気になりますよね。電気ウナギが発電する仕組みは、私たち人間が微量に電気を発生させられることと原理は同じですが、厳密には少し異なります。
結論から言うと、電気ウナギは細胞膜の内側と外側で「膜電位」という電位の差を産み出し、これにより強力な電気を生成しています。
この膜電位はそれ単体では微量の電気しか生み出しません。しかし、特殊な筋肉が体の大部分を占める電気ウナギは細胞膜の数が多いため、微量な電圧がどんどん加算されていき、最終的に強い電圧へと変わっていきます。
加えて、電気ウナギの脂肪は絶縁体(電気を通さない物質)の役割を有しており、これにより自身は感電することがありません。いつでもリスクなく外敵を感電させることができます。
ここまでが電気ウナギの発電の仕組みですが、より複雑な説明をすると化学知識が必要になってきます。
したがって、まずは「体の90%を占める筋肉が発電機能を持っており、これにより強い電気を生成することができる」と覚えておきましょう。
電気ウナギの電圧は何V(ボルト)か
電圧は電気ウナギの大きさにもよりますが、1m〜2mの中型サイズで600V (ボルト)に到達します。
さらに、2.5メートルほどの大型の電気ウナギでは800Vもの電圧を生成することができます。
この目安として日本の一般家庭用コンセントは100V以下なので、それの6倍〜8倍ほどの電圧ということになります。ここまでになると「バチッ」というよりも「ビリッ」という効果音の方が適していますね。
また、電気ウナギの電気は水中よりも水の外の方が強くなります。なぜなら、水中だと電気が水を伝わって分散しますが、水の外であれば直接電気が渡り威力が増すからです。
人間や大型の生物が電気ウナギに触るとどうなるのか
では、実際に電気ウナギに触れた場合どうなるのでしょうか。
人間の場合は、致死とはなりませんが大変危険です。
皮膚を指先で一瞬触れる程度であればビリッとして痛みを感じる程度ですが、触れる箇所や触れた時間によっては立っていられないほどの感電で意識が飛ぶことがあります。
また、大型のワニでさえも電気ウナギに触れると感電して動けなくなります。
アマゾン川は生態系の豊かさ故に弱肉強食の世界で、その中でもワニ強者に部類に入ります。ですが、そのワニでさえも電気ウナギは感電させて意識を飛ばすことができます。
このようにアマゾン川流域では、ワニをも寄せ付けない電圧を有する電気ウナギは食物連鎖の頂点に君臨しています。
アマゾン川で電気ウナギを見かけた際は、興味本位でも近付かないことをおすすめします。
・電気ウナギは、発電機能を持った特殊な筋肉を活用して電気を生み出す
・電気ウナギの電圧は平均600V~800V
・人間や大型のワニも感電で気絶するほどの電気を生成する