【汽水魚とは】定義・汽水域で生息できる理由・主な種類を紹介

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汽水魚という分類を聞いたことがありますか?

海水に住んでいる魚を海水魚、淡水に住んでいる魚を淡水魚というのは多くの方が知っていると思いますが、汽水魚の存在はあまり知られていません。

本記事では汽水魚について、定義・該当する魚種・飼育方法の三点から解説していきます。

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汽水魚とは

汽水域でも生息できる魚のことを汽水魚といいます。

汽水域とは海水と淡水の中間にあたる水域を指し、「淡水の塩分濃度0.1%以上〜海水の塩分濃度3.4%以下」の水域のことです。

特に川が海に接続する河口や湖が多く、海水の温かさ・塩辛さと淡水の冷たさが混ざっている場所です。

汽水魚に該当する魚の全てが常に汽水域で生きているわけではなく、①主に海水域に生息しているが汽水域に侵入することがある魚、②主に淡水域に生息しているが汽水域に侵入することがある魚、③主に汽水域で生息している魚、の3種類存在します。

なぜ汽水域で生きられるのか

しかし、多くの魚は海水域か淡水域のいずれかでしか生きられないはずなのに、なぜ汽水魚は海水と淡水が混ざり合う場所で生きていけるのでしょうか。

その理由としては、汽水魚が海水魚と淡水魚が持つ特有の機能をどちらも有しているからです。

その前にまず、なぜ海水域か淡水域のいずれかでしか生きられないかを整理すると、魚の浸透圧調整機能が関係してきます。 ※浸透圧調整に関する詳細な説明はこちらを参照ください。

浸透圧とは水分が濃度の薄い側から濃い側に移動する働きのことで、海水魚の場合は体内から体外へと、淡水魚の場合は体外から体内へと水分が移動します。

そのため海水域で生息している魚は体外へと水分が出ていってしまうので、水分不足を補うために海水を大量に飲みます。ですが、海水は塩分を多く含んでいるので塩分過多で死に至らないようにエラと尿を活用して塩分を排出する機能を持っています。

また、淡水域では体内に水分が入ってくるので、水分過多にならないように水分を尿で排出する機能を持っていないと生きていけません。

そして、多くの魚はそのどちらかの機能しか有していませんが、汽水魚は状況にあわせて切り換えることができます

例えば、淡水域から汽水域に移動すると、浸透圧の関係で体外→体内へと水分が入ってくる状態から、体内→体外へと水分が出ていく状態に変化します。その時に、尿を排出して水分過多を防ぐ機能から、塩分をエラで排出して塩分過多を防ぐ機能へと変化させます。

この適応能力の高さがあるからこそ、汽水魚は汽水域でも生きていけるということになります。

汽水魚の種類

よく知られている魚の中では、ボラ・スズキ・ハリセンボン・クロダイ(チヌ)などが汽水魚に該当します。

特にボラは河口付近で見かけることも多いので、汽水魚としてのイメージがわきやすいのではないでしょうか。

他にもヒラメやカレイも一部汽水域で生息できる種もいて、イシガレイなどが該当します。

また、普段見かけたり釣り上げたりすることは少ないですが、飼育用として人気の高い汽水魚もいてミドリフグがその代表です。

汽水魚の飼い方

汽水魚は状況に合わせて耐性を切り替えることができるため、基本的に飼育に関しては難易度は低いとされています。

汽水を作るために塩分濃度を測れる器具もありますが、まずは慣れるまでに市販の「汽水の素」などを活用することで手間が省けます。

「汽水の素」を使用しない場合は、水道水などの真水に「海水の素」を海水の2分の1~4分の塩分濃度になるように加えることで、汽水を作ることができます。

しかし汽水を維持しようとすると手間がかかるので、徐々に汽水魚を海水に適応させていき、管理を楽にすることをおすすめします。

 

ざっくりポイント
・汽水魚とは汽水域を好んで生息している魚のこと
・汽水魚は常に汽水魚で生きている種ばかりではなく、以下3種類存在する
 ①主に海水域に生息しているが汽水域に侵入することがある魚
 ②主に淡水域に生息しているが汽水域に侵入することがある魚
 ③主に汽水域で生息している魚
・汽水魚が汽水域でも生きられる理由は海水魚と淡水魚が持つ特有の機能をどちらも有しているため
・ボラ、スズキ、ハリセンボン、クロダイ(チヌ)などが汽水魚に該当する
・「汽水の素」などを活用して汽水を作ることで、汽水魚に適した塩分濃度の水で飼育する
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