「魚の血合い」は聞き慣れた言葉ですが、具体的にどこの箇所を指すのか分からない人は少なくありません。
他にも、血合いを取り除いた方がいいのかどうか、取り除くならどう処理すればいいか、など「魚の血合い」は意外と謎に包まれています。
そこで本記事では
①血合いの種類
②取り除き方
③取り除くべきかどうか
の3点を解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
魚の血合いは2種類ある
まずは、魚の血合いの種類について見ていきましょう。
「魚の血合い」には、①魚の筋肉を指す場合と②魚の腎臓を指す場合があります。
魚の筋肉を指す「血合い」
魚の血合い1種類目が、赤黒い筋肉です。
この場合、赤黒い色をした筋肉が「血合い」に該当します。「血合い肉」や「血合い筋」と呼ぶ人もいます。
特定の箇所だけ赤黒くなっているのは、魚が泳ぐ際に最も使用する筋肉だからです。泳ぐ際に使用する筋肉中では、赤い色素たんぱく質(ヘモグロビン・ミオグロビン)が多くなるため、その箇所が濃い赤色になります。
普通の身に対する血合いの割合は魚種によって異なり、マグロやカツオなどの運動量が多く広い範囲を回遊している赤身魚は血合いの割合が多くなります。一方で、タイやカレイなどの白身魚にも血合いはありますが、その割合はごくわずかです。
また、血合いは表層血合いと深部血合いに分けられます。
表層血合いは体の外側(身と皮の間に沿っている箇所)の血合いで、多くの魚がこちらのみを有しています。深部血合いはマグロやカツオなど運動量の多い回遊赤身魚で発達し、背骨付近に位置しています。
魚の腎臓を指す「血合い」
魚の血合い2種類目が、腎臓です。
魚を扱う業界で「血合い」というと、魚の腎臓を指すことが一般的です。
魚の腎臓は背中とお腹の間の骨に沿ってあり、内蔵を取り出したらその奥に見えてきます。
腎臓を指す血合いはかき出さないと刺身で食べる際に生臭さが強くなるので、業界では丁寧に除去することが通説です。
一般的に「魚の血合い」というと筋肉と腎臓どちらを指す?
「血合い」は2種類の定義があるため、どちらを指しているのかはその状況で判断する必要があります。
ですが単に「血合い」という場合には魚の筋肉を指すことが多いので、まずは血合い=魚の赤黒い筋肉と覚えておきましょう。
ただ「血合いをかき出す」のように、腎臓にしか使えない動詞が付いている場合には、腎臓を指すこともあるので注意しましょう。
魚の血合いの取り除き方
場所や仕組みが違うため、血合いを取り除く方法も筋肉と腎臓で異なります。
筋肉の血合いを取り除くには、まずどの箇所が血合いなのかを目視で確認しましょう。多くの場合が、体の外側(皮膚の近く)についています。あとは、その箇所のみを包丁で切り取れば処理は完了します。この時、同時に赤身を切り取ってしまわないように注意が必要です。
腎臓の血合いを取り除くには、腹を割って内臓を取り出した後にかき出すのが効率が良いです。この際、スプーンや血合いを取り除く専用器具などを使用すればストレスなく処理が完了します。
魚の血合いは取り除くべきなのか
最後に、血合いに関してよくある質問「血合いは取り除くべきか」について解説します。
筋肉の血合いと腎臓の血合い、どちらにも共通しているのは血生臭いという点です。魚を美味しく食べるにあたって血生臭さは天敵であるため、取り除きたいと考える人も多いのではないでしょうか。
結論、魚の血合いは基本的に取り除けば問題ありません。できるだけ美味しく魚を食べたいのであれば、血合いの臭さは邪魔になってしまいます。
特に、腎臓の血合いを食べるメリットはほとんどありません。必ず取り除くようにしましょう。
栄養豊富な「筋肉の血合い」は加熱処理で美味しく食べよう!
一方で、筋肉の血合いに関しては取り除かない方がいい場合もあります。
実は、筋肉の血合いは血生臭い反面、鉄分やビタミンAなどが豊富で栄養価が非常に高い部位なのです。したがって、取り除かずに食べるメリットがあるということになります。
筋肉の血合いをストレスなく食べるおすすめの調理方法は、加熱処理をすることです。例えば、焼き魚や煮付け、天ぷらにすることで、血合いの臭さが緩和され美味しく食べることができます。
刺身で食べたい場合には、塩水につけると血生臭さを緩和することが可能です。ただし、臭さを完全に落としきることは難しいので、刺身で楽しみたいなら無理せず取り除いた方がいいでしょう。
まとめ
魚の血合いは、多くの方が「筋肉」を指すと思っていますが、「腎臓」を指す場合もあることを覚えておいて損はありません。特に、魚に属する業界では「腎臓」を指す人も一定数いらっしゃいます。
この違いを知っておくことで、それぞれに適した処理が施せます。腎臓の血合いは必ず取り除き、筋肉の血合いは加熱処理をすれば豊富な栄養を摂ることができます。
ぜひ両者の違いを知っていただき、今後の料理などに活かしてください。
・魚の血合いは、「筋肉」を指す場合と「腎臓」を指す場合がある
・筋肉の血合いは、魚の身の中でも赤黒い色になっている箇所の筋肉を指す
・腎臓の血合いは、背中とお腹の間の骨に沿ってある臓器を指す
・場合によって使い分けるためどちらを指しても間違いではないが、厳密には魚の筋肉を指す方が正しい
・腎臓の血合いは、できる限り取り除いた方が良い
・筋肉の血合いは栄養豊富なので、加熱処理などして食べても良い