猫は肉食動物。となれば、もちろん魚も大好物です。
特にかつおのように人間でも「美味しい」と感じる魚は、猫も例外ではなく好物になりやすいといえるでしょう。
一方で、「かつおを食べさせても健康に害はないのか?」「刺身でそのまま与えても大丈夫なのか?」といった不安は、大切な猫ちゃんにかつおを食べさせる際に考える方が少なくありません。
そこで本記事では、猫にかつおを食べさせてもいいのか?という点に焦点を当てて解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
※かつおよりもおすすめの魚は「サーモン」です。迷ったらサーモン・鮭を食べさせてあげれば、良いこと尽くし。以下の記事も合わせてご確認ください。
・猫にかつお(刺身)を食べさせても問題ないか知りたい方
・猫にかつおを食べさせる際の注意点を知りたい方
・刺身と加熱処理したかつおでは、どちらが好ましいか知りたい方
猫はかつおを食べても問題ない生き物
結論から申し上げると、猫はかつおを食べてもいい生き物です。
むしろ高いタンパク質を補給しなければならない猫にとって、かつおは向いている食べ物ともいえます。他にも、猫にとって必須栄養素であるタウリンや、DHA・EPAも同時に摂れるため、健康的なメリットもあります。
それに、かつおは比較的安い価格で購入できる魚なので、食卓に並ぶことも多いですよね。その際、もし猫ちゃんが食べたそうにかつおを見ていたら、細かく切ってあげて食べさせてあげましょう。
かつおを食べさせる際の注意点①:食べさせ過ぎ
ただし、かつおを食べさせる際の注意点として、食べさせ過ぎることは避けるようにしてください。
かつおは低カロリーな魚として知られています。しかし猫の普段の主食を一般的なキャットフードと仮定した場合、かつおは高いカロリーを持つ食べ物となります。したがって、食べさせ過ぎると肥満に繋がる可能性が高くなってしまいます。
また、かつおは「チアミナーゼ 」という酵素が含まれています。チアノーゼを摂取しすぎると、猫の体内のビタミンB1を分解し「チアミン欠乏症」を発症する恐れがあり、重症化してしまうと運動失調や神経失調などが起こるため注意が必要です。
さらに、かつおには「不飽和脂肪酸」が多く含まれています。少量であればコレステロール値を下げ血液がさらさらになる効果がありますが、摂りすぎると不飽和脂肪酸が猫の体内に蓄積し「黄色脂肪腫(イエローファット)」が発症するリスクを伴います。こちらを発症すると、猫の腹部に痛みが生じたり、被毛のツヤが無くなるなどもマイナス効果を生みます。
このようにリスクが伴いますが、安心してください。肥満・チアミン欠乏症・黄色脂肪腫は、たくさんかつおを食べた場合に伴うリスクです。少量であれば構わないので、与え過ぎに注意しつつ、たまに食べさせてあげましょう。
かつおを食べさせる際の注意点②:アレルギー反応
また、かつおを食べさせる際には、アレルギー反応が出ていないか注意するようにしてください。
場合によっては、魚アレルギーを持っている猫ちゃんもいます。かつおを食べた後に下痢をしやすい・嘔吐をすることが多いなどが見られる場合は、魚アレルギーである可能性があります。
かつおを食べさせてあげた後は、アレルギー症状が出ていないか注意して見守ってあげましょう。
かつおを「生の刺身」で食べさせる場合の注意点
これらに注意をしていれば、猫にかつおを食べさせることは問題ありません。
ただし「生の刺身」で食べさせる場合には、追加で以下の2点に気を付ける必要があります。
▼注意点
①アニサキス寄生虫に気を付ける
②醤油などで味付けをしない
それぞれ詳しく解説します。
アニサキス寄生虫に気を付ける
かつおを「生の刺身」で食べさせる場合の注意点1つ目は、アニサキス寄生虫に気を付けることです。
アニサキスとは海水魚の内臓や筋肉に潜む寄生虫であり、取り除かないまま人間や猫が食べてしまうと激しい痛みや嘔吐下痢が発症します。
アニサキスはサイズが大きめな寄生虫であるため、目視でも確認できます。しかし素人は見落としてしまう可能性があります。加えて鮮度の悪いかつおの場合、アニサキスが筋肉の深い位置に移動してしまうため、より見つけるのが困難になります。
こちらの対策として、鮮度の悪いかつおは大切な猫ちゃんに与えないことを徹底しましょう。鮮度が悪くなると味が落ちるだけでなく、アニサキスを見つけにくくなってしまいます。
醤油などで味付けをしない
かつおを「生の刺身」で食べさせる場合の注意点2つ目は、醤油などで味付けをしないことです。
猫は人間よりも何倍も体が小さな生き物です。人間と同じ量の醬油を飲むと、塩分過多になってしまいます。これは醬油だけでなく、例えば塩やポン酢なども同じです。
多くの場合、人間がかつおの刺身を食べる時は醤油につけますよね。その流れで醤油がついたかつおの刺身を猫に食べさせてしまわないように注意してください。
猫にかつおを食べさせる際のおすすめの処理方法【焼く・茹でる】
最後に、猫にかつおを食べさせる際のおすすめの処理方法を解説します。
猫には生の刺身ではなく、できるだけ焼く・茹でるといった加熱処理したかつおを食べさせるのが好ましいです。
その理由として、加熱処理を施すことによりアニサキスを完全に死滅させることができるからです。
前述した通り、アニサキスは比較的見つけやすい寄生虫ですが、それでも素人がさばく場合には見落としてしまうリスクが伴います。一度猫ちゃんの体内に寄生してしまうと、とても苦しい思いをさせてしまいます。そのアニサキスのリスクを避けるためには、加熱処理が最も効果的なのです。
他にも、「チアミン欠乏症」の要因となる「チアノーゼ」は、加熱処理をすることで不活性化することも分かっています。
つまり、加熱処理をすることで猫にとってリスクとなる「アニサキス」と「チアミン欠乏症」を予防することができるということになります。焼いたり茹でたりすることは手間となってしまいますが、大切な猫ちゃんのため。ぜひ加熱処理をしてあげるようにしてください。
かつおのタタキは加熱処理できている?
加熱処理と関連して、人気が高いかつおの食べ方として「かつおのタタキ」があります。
かつおのタタキは作る過程で表面を高い火力であぶるので、表面部にいるアニサキスを死滅させる効果が期待できます。その点では加熱処理をしているといえますね。
しかし加熱するのはあくまでも表面だけであり、中は生身のままです。生身の部分にアニサキスがいる場合は危険を伴いますし、チアノーゼの不活性化には繋がりません。
かつおのタタキは「加熱処理しているかつお」ではなく、「生の刺身」に近いものとして猫に食べさせるようにしましょう。
かつおぶし(鰹節)はおすすめ?
また、かつお関連として「かつおぶし」もあります。
かつおぶしを作るには、煮る・燻す・乾燥させるなどの火を入れる工程が伴うため、加熱処理ができています。したがって、アニサキスなどのリスクは0といえるでしょう。
一方で、かつおぶしには「塩分が多い」というリスクがあります。特に「人間用」のかつおぶしは、猫にとっては塩分過多に繋がる恐れもあるため、食べ過ぎには注意が必要です。
かつおぶしにすることで、新たなリスクが伴うということを認識しておきましょう。
猫がかつおぶしを食べることに関する詳細な情報は、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。
かつおより低リスク!おすすめはチキンとサーモン
猫にとってかつおは、魚の中でも比較的低リスクです。それでも食べさせすぎに注意しなければならず、リスクは避けられません。
魚が大好きな猫ちゃんには、サーモンがおすすめです。オレンジ色をしていますが、実は白身魚のサーモンは、他の魚にはない「アスタキサンチン」という優れた成分を有しています。
また、チキン、とりわけ「ささみ」と「胸肉」は、猫にとって最も適した食材といえるでしょう。かつおを食べさせるのが不安、という方は、チキンとサーモンを検討してみてはいかがでしょうか。
詳細は以下の記事で解説しています。ぜひご一読ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
猫にかつおは害がある食べ物ではありませんが、少なからずリスクは伴います。
それでも、かつおが大好きな猫ちゃんもいらっしゃいますよね。
その場合は前述した注意点を守っていただきつつ、豊かな人生のために食べさせてあげましょう。
どうしても魚が好きな猫ちゃんであれば、サーモンがおすすめです。猫にとって魚はリスクがありますが、サーモンは別格。むしろ食べさせてあげるべき食材といえます。
以下で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
・猫はかつおを食べても問題ない
└ただし、食べさせ過ぎとアレルギー反応に注意が必要
・「生の刺身」で食べさせることも問題ない
└アニサキス寄生虫に注意が必要
└醤油による味付けはしない方が良い
・猫にかつおを食べさせるなら、できるだけ加熱処理を
└かつおのタタキは「生の刺身」として扱う