猫のそばに好物のかつおぶしを置くと、そのかつおぶしはすぐに猫に奪われてしまうため気が抜けない…。
そこから転じて、”油断ができない” ことを意味する「猫にかつおぶし」ということわざが生まれました。
このようにかつおぶしは、古くから猫の好物を象徴する食べ物として認識されてきました。実際に、料理している時などにかつおぶしを扱っていると、欲しそうに見つめてくることも多いかと思います。
しかし、猫はとてもデリケートな生き物。食べてはいけないもの、食べていいものの線引きが多くある中で、かつおぶしは食べさせてもいいのでしょうか。また、「人間用」のかつおぶしを食べさせることに害はないのでしょうか。
本記事では、こちらについて解説していきます。
・ 猫に「人間用」のかつおぶしを食べさせてもいいか知りたい方
・「愛猫の好物がかつおぶしだから食べさせたい」と考えている方
猫に「人間用」のかつおぶしを多量に食べさせるのはNG!その理由は?
先に結論から申し上げます。
猫がかつおぶしを食べること、それ自体に害はありません。実際に、かつおぶしを与えていらっしゃる方も多いですよね。
しかし、“人間用”のかつおぶしを”多量”に食べさせるのは、できるだけ控えるようにしましょう。理由としては、①ミネラルの過剰摂取に繋がる ②商品によっては塩分の過剰摂取に繋がる の2点のリスクが高いからです。
どういうことか。それぞれ詳細に解説しますね。
ミネラルの過剰摂取に繋がる
猫に「人間用」のかつおぶしを多量に食べさせるのを控えた方がいい理由1点目は、ミネラルの過剰摂取に繋がる恐れがあるからです。
ミネラルとは、五大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル)の1つであり、私たち人間だけでなく、猫や犬などの動物に欠かせない栄養素です。そしてかつおぶしは、このミネラルが豊富に含まれている食べ物です。
ー「じゃあ、ミネラルを豊富に摂れるかつおぶしは猫に良いのでは?」
いえ、猫にとってミネラルは必要な栄養素ではありますが、その量は微量でなければなりません。摂りすぎてしまうと、尿の中の酸性とアルカリ性のバランスが崩れ、結石ができてしまいます。いわゆる「尿路結石」です。
もともと猫は泌尿器系の病気には気を付けなければなりません。特に「尿路結石」は、猫がかかりやすい病気であるためミネラルの量には注意が必要です。したがって、ミネラルが豊富なかつおぶしを与えすぎることは、猫の弱点を突くことになってしまうのです。
この理由から、市販されているキャットフードは、ミネラルのバランスに配慮することが当たり前になりつつあります。猫の健康のためにも、かつおぶしだけでなくキャットフードにも気を付けましょう。
塩分の過剰摂取に繋がる
猫に「人間用」のかつおぶしを多量に食べさせるのを控えた方がいい理由2点目は、塩分の過剰摂取に繋がる恐れがあるからです。
人間用のかつおぶしは、塩分が多く含まれている食べ物です。それでも、人間が食べる分には何の問題もありません。
対して、猫は人間と比べて何倍も体が小さい生き物です。つまり人間が食べる量の塩分は、猫にとっては過剰摂取になってしまうのです。
「ねこまんま」という、ご飯・かつおぶし・味噌汁でつくる食べ物がありますよね。こちらは、”猫に与える残飯”が由来となっていますが、かつおぶしだけでなく味噌汁も塩分の塊です。猫に与えるのは高いリスクを伴います。
話を戻しますが、「人間用」のかつおぶしは猫にとっては多量の塩分を含む食べ物です。塩分の過剰摂取にならないように注意してあげましょう。
猫にかつおぶしを食べさせる際のポイント
このように、猫にかつおぶしを食べさせることはリスクが伴ってしまいます。
とはいえ、「かつおぶしが大好物」という大切な猫ちゃんもいらっしゃるかと思います。好きなものを我慢させるのは避けたいですよね。
ご安心ください。冒頭で説明した通り、猫にとってかつおぶしを食べること自体に害があるわけではありません。注意すべき点を守りながらであれば、かつおぶしを食べさせてあげることは猫ちゃんの幸せのために良いことです。
そこで、ここからは猫にかつおぶしを食べさせる際のポイントを3点解説します。
ぜひ詳細まで理解していただき、猫にかつおぶしライフを満喫させてあげましょう。
「人間用」ではなく「猫用」のかつおぶしを食べさせよう
猫にかつおぶしを食べさせる際のポイント1つ目は、「人間用」のかつおぶしではなく「猫用」のかつおぶしを食べさせることです。
前述した通り、「人間用」のかつおぶしは塩分が多く、猫にとっては塩分過多です。その代わりに「猫用」として販売されているかつおぶしを食べさせてあげてください。
「猫用」といえども、原料は「人間用」と同じかつお。「人間用」のかつおぶしが好きな猫は、「猫用」でも変わらず好物として喜んで食べるはずです。
その中でも、特に減塩処理がされた「猫用」のかつおぶしを選ぶようにしてください。減塩表記がある「猫用」のかつおぶしは、かつおの脂分(塩分)が少ない部位を使用しているため、塩分過多のリスクをより下げることができます。味はもちろん、大きくは変わりません。
「猫用」であり、かつ減塩処理がされているかつおぶしを与えるようにしましょう。
「主食」ではなく「おやつ」としてかつおぶしを食べさせよう
猫にかつおぶしを食べさせる際のポイント2つ目は、「主食」ではなく「おやつ」としてかつおぶしを食べさせることです。
いくら減塩処理がされている「猫用」のかつおぶしとはいえ、主食として大量に食べさせてしまっては結果的に塩分過多になってしまいます。また、ミネラルの過剰摂取にも繋がります。
主食は猫ちゃんの健康に良いキャットフードを。そしておやつとして、ひとつまみ程度「猫用」のかつおぶしを食べさせるようにしましょう。
この際、キャットフードはミネラルの量に気を付けたものを、「猫用」のかつおぶしは減塩処理がされたものであれば理想的ですね。 ※少々値が張っても、愛する猫ちゃんのためです…。
魚アレルギーに注意しよう
猫にかつおぶしを食べさせる際のポイント3つ目は、猫アレルギーに注意することです。
猫によっては、魚類に対してアレルギー体質が出る場合があります。この場合、かつおを原料としてつくられるかつおぶしでも、例外なくアレルギー症状が出てしまいます。
かつおぶしを食べた後に下痢や嘔吐をしていると感じたら、魚アレルギーの可能性が否めません。そうなると、食べている時は幸せでも食べた後が辛くなり、本末転倒です。
かつおぶしを食べさせた後は、注意して猫ちゃんの様子を伺ってあげてください。
まとめ
いかがでしょうか。
かつおぶしを猫に食べさせることは、リスクが伴うことになります。
しかし、多くの猫は喜んでかつおぶしを食べます。それを排除してしまっては、食の幸せの一部を奪うことになりかねません。
したがって、必ずお伝えした3つのポイントを守ってください。そのうえで食べさせるのであれば、かつおぶしは与えてもいい食べ物といえます。
そうすれば「猫にかつおぶし」ということわざも、正当化されますね。
・猫に「人間用」のかつおぶしを多量に食べさせるのは控えた方がいい
└ミネラルの過剰摂取になるため
└塩分の過剰摂取になるため
・猫にかつおぶしを食べさせるなら、以下の2点を守ること
└減塩処理がされた「猫用」のかつおぶしを食べさせる
└「おやつ」として少量を食べさせる