あらゆるものにはルールや定義がありますが、その多くに「例外」は存在します。
そして「ハイギョ」は、まさに魚の例外に該当する生き物。
本記事では、こちらの生き物について解説していきます。
ハイギョの生態
ハイギョとは、肉鰭亜綱・肺魚下綱に分類される魚です。
漢字では「肺魚」と書き、その特徴は文字通り魚であるにも関わらず肺で呼吸をすること。
本来、魚は水中で生きていくためにエラ呼吸をしますが、ハイギョはエラ呼吸だけではなく、私たち人間と同じ肺呼吸もすることができます。
この「魚なのに肺呼吸ができる」点が、ハイギョが魚の例外に該当するといわれる理由です。
見た目はウナギに似ており、胸ヒレは糸のように細長い形をしています。このヒレは自由に動かすことができ、目が発達していないハイギョにとってエサを探したい障害物を探る際に活用します。
生息地はオーストラリア大陸、南アメリカ大陸、アフリカ大陸の3大陸で、比較的気温が高い地域に主に分布しています。
ハイギョは水中と陸上の両方で生きていける
ハイギョはあくまでも魚の一種であるため、エラで呼吸をすることによって水中でも息ができます。
しかし呼吸の大部分が肺呼吸に依存しているため、水中に長くいると酸素不足となり窒息死してしまいます。
一方で、水中でのエラ呼吸に呼吸を依存させていないため、全ての水が干からびる「乾期」でもハイギョは生きていくことができます。
その期間は「夏眠」と呼ばれる睡眠法で、粘膜と泥をまとった状態で地中に潜り、肺呼吸をしながらその期間が過ぎるまで休眠します。
そのため原産地であるオーストラリアでは、乾期に地中を掘るとハイギョが中から出てくることも多いとのこと。
稚魚であれば、気付かない内にハイギョを含んだまま土をレンガに加工してしまうことも少なくないようで、雨期になるとレンガの中からハイギョが出てくることもあるみたいです。
ハイギョは太古から生きている「生きた化石」
このように魚らしからぬ特徴を持ったハイギョは、恐竜が存在するほどはるか昔から存在していたとされています。
その期間は約4億年。さらに1億年以上前から姿かたちが変化していないことが、発掘された化石を根拠に分かっています。
このことから、ハイギョはシーラカンスと同じように「生きた化石」と呼ばれ、現存する脊椎動物の中でも最も古い種類の一種となっています。
夏眠という厳しい環境を乗り越える術を身に付けているハイギョだからこそ、何億年という長い期間絶滅せずに乗り越えられたのではないでしょうか。
飼育用としてのハイギョ
ハイギョは熱帯魚に属する淡水魚であり、観賞用として飼育することも可能です。
ポイントとしては、水温を高く設定すること・抜け出さないように水槽の蓋に重しを乗せること・成長することを想定し大きめの水槽にすること、です。
特に水温に関しては、ハイギョが温かい地域に生息しているので冬の水温の中だと弱ってしまいます。なので、ヒーターを購入することをおすすめします。
また、顎の力が強く成体に噛まれると大きな危険を伴うので、水槽に手を入れる際には注意が必要です。
一匹当たりの値段は、ハイギョ自体が希少種であるため他の熱帯魚ほど安くはありません。
種類にもよりますが、安いハイギョで1万円前後、高いハイギョだと数十万円ほど必要です。
それでも「生きた化石」を飼育する価値は高いと思うので、検討してみてはいかがでしょうか。
・魚であるハイギョはエラ呼吸だけではなく、私たち人間と同じ肺呼吸もすることができる
・呼吸の大部分が肺呼吸に依存しているため、水中に長くいると酸素不足となり窒息死してしまう
・乾期になると粘膜と泥をまとった状態で地中に潜って眠る「夏眠」をし、肺呼吸をしながらその期間が過ぎるまで休眠する
・4億年前から存在していたことが分かっており、「生きた化石」とも称される
・価格は安くないが、観賞用として飼育することもできる