川魚の生食は寄生虫が多く超危険|焼くか冷凍処理を徹底しよう!

魚の雑学
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海も川も関係なく、魚を生で食べることはある程度の危険が伴います。

ですが、特に川魚(淡水魚)を生で食べることは食中毒になる危険性が高くなります。

本記事では、そんな川魚の生食リスクについて解説していきます。

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川魚の生食は寄生虫感染リスクが高く危険

私たちが普段刺身で食べているのはマグロやタイなどの海水魚ばかり。

アユ、ヤマメ、イワナなど、川魚は基本的に生で食べることはありません。

その理由は川魚の多くは寄生虫を体内に持っており、食べると感染する危険性が非常に高いからです。加えて、感染すると命を失ってしまう危険が伴うからです。

なぜ寄生虫は海水魚に少なく、川魚(淡水魚)には多いのか

川魚の体内に寄生虫がいる可能性が高いのは、淡水が海水と比較して塩分濃度が低く寄生虫が生息しやすい環境であるためです。

淡水で生息している虫や小さい貝などに寄生虫がいることが多く、それを川魚がエサとして捕食する、という流れで川魚に寄生虫が移動します。

逆に、塩分濃度が高い海水で生きられる寄生虫は少ないので、海水域に住む虫や貝などを食べる海水魚に寄生虫が移動する可能性は低いです。

したがって、海水魚は生で食べても基本的は問題ないということになります。

川魚にすむ寄生虫の種類

川魚に寄生する寄生虫は主に3種類存在します。

顎口虫(がっこうちゅう)

顎口虫はドジョウやマスなどの淡水魚を通して人体に寄生し、顎口虫症を引き起こします。

顎口虫は数種類存在し、人体への寄生が確認されているのは有棘顎口虫、日本顎口虫、剛棘顎口虫、二核顎口虫、ドロレス顎口虫の五種類。

これらの顎口虫の幼虫は、体内に寄生しても人体では成虫になることができないため、幼虫のまま体内の各所を移動して様々な症状を発症させます

みみず腫れやこぶが体のあちこちでできたり消えたりする場合は、顎口虫が皮膚の下にもぐりこんでいる可能性があります。

また、中枢神経系や眼球に入り込み、最悪の場合は失明や死に至ることもあります。

後述するその他の川魚寄生虫は軽症で済むことが多いので、顎口虫が最も危険といえます。

肝吸虫(かんきゅうちゅう)

肝吸虫は主にコイやフナなどコイ科の魚を通して人体に寄生し、肝吸虫症(別名:肝ジストマ症)を引き起こします。

不衛生な環境下の川に生息するコイ科の魚が肝吸虫を保有している可能性が高く、近年では衛生の良さからその割合は減っています。

少数の寄生ではほとんど症状を感じることはありませんが、多数寄生では軽症で下痢やからだのだるさを感じます

成虫になると10数年生きて慢性化し、進行すると肝硬変になることもあるので早急な治療が必要です。

横川吸虫(よこがわきゅうちゅう)

横川吸虫は、日本全域に分布する寄生虫です。

成虫の体長で1mm~1.5mmほどの小さな体で、多くの場合アユを食べることによって感染します。

少数の寄生では人体にはほとんど無症状ですが、多数寄生の場合だと小腸炎・下痢などを引き起こし、重症の場合は消化吸収障害となります

寄生虫感染リスクを下げる川魚の処理方法

川魚にすむ寄生虫を死滅させるには、加熱処理か冷凍処理がおすすめです。

加熱処理(焼く・煮る)

一番確実で簡単な処理方法が、焼く・煮るなどの加熱処理で寄生虫を死滅させる方法です。

特にアユは塩焼きで食べるのが一般的なように、川魚は焼き魚で食べるのが主流ですよね。

したがって、焼き魚にする・煮付けにする・茹でるなどで火を通すようにしましょう。その際、軽くあぶるだけではなく、中までしっかり熱が通るようにしてください。

キャンプなどのアウトドア中であれば、串に刺して火を通せば問題ありません。

こちらが、最もおすすめしたい川魚の処理方法です。

冷凍処理

加熱処理以外では、冷凍処理で寄生虫を死滅させる方法がおすすめです。

寄生虫は-20℃で24時間以上、中心部まで冷凍すると完全に死滅するします。

家庭用冷蔵庫についている冷凍庫は通常-18度以下に設定されているので、余裕をもって30時間ほど冷凍処理するとより安全です。

しかし、せっかくの魚の味が落ちてしまう点と目視での確認が難しい点をふまえて、できれば加熱処理することをおすすめします。

酢などの調味料で寄生虫は死滅するのか

このように加熱処理・冷凍処理を施せば、川魚の寄生虫は死滅し安全に食べることができます。

一方で、酢や醤油などの調味料では寄生虫を完全に死滅させることはできません

昔から「お酢で殺菌できる」ということは言われていますが、川魚に潜む寄生虫に対しては効果はありません。調味料だけの処理方法で川魚を生で食べるのは高い危険を伴います。

一方で、川魚特有の生臭さを消すためには酢や醤油などの調味料は効果的です。

川魚に調味料を使う際は、寄生虫を死滅させるためではなく、生臭さを消すためにしておきましょう。

養殖の川魚の寄生虫感染リスクは低い?

川魚の養殖

では、養殖の川魚の体内には寄生虫が潜んでいるのでしょうか?

答えは「可能性は低いが、ゼロではない」というのが正しいです。

養殖の川魚は餌(飼料)を与えられるため、感染源である虫や小さな貝を食べることはほとんどありません。加えて、徹底した寄生虫対策を施している場合もあります。

しかしその可能性がゼロではないため、100%川魚の生食が安全かというと断言はできないのです。

それでも天然の川魚に比べたら安全なのは間違いないため、生産者の注意事項などをよく読んで、問題がなさそうと判断すれば刺身で食べても良いでしょう。

海水魚の生食の寄生虫感染リスクは?

川魚の生食は非常に危険ですが、もちろん海水魚の生食にも危険が伴います

その代表例がアニサキスです。アニサキスは主に海水魚の内臓や筋肉に寄生する小さな寄生虫で、食べると胃痛や吐き気などの症状が発生します。

ですがアニサキスは目視で見つけることができるため、除去が簡単で注意を払えばリスクは最小限にすることが可能です。

そういった意味でも、やはり川魚を生で食べる方が海水魚に比べてはるかに危険です。

川魚を食べる際は、必ず加熱処理・冷凍処理をするようにしましょう。

なぜサーモンは生で食べられるの?

最後に、頻出疑問である「同じ川魚なのに、なぜサーモンは生で食べることができるのか?」について解説します。

大前提、以下をおさえておいてください。

・天然物を鮭、養殖物をサーモンと呼び方を使い分けている
・鮭とサーモンは海水と淡水の両方で生きることができる
そのうえでなぜサーモンを生で食べることができるかというと、サーモンは徹底した管理のもと寄生虫リスクを排除しているからです。
前述した通り、養殖物でも川魚は寄生虫リスクがゼロではありません。しかしサーモンに関しては、元々生食用として飼育されているため、寄生虫リスクは限りなくゼロに近い状態で養殖しています。こちらの理由から、サーモンは生食でも問題がないということになります。
一方で、同じ種類でも天然物である鮭に関しては、生食は寄生虫リスクが非常に高いです。一度海へと出ていったうえで戻ってくるとはいえ、最終的に捕獲するのは淡水域であるため川魚として分類されます。その途中で寄生虫が鮭の体内に侵入しても、何ら不思議ではありません。
つまり普段私たちが刺身や寿司で食べているのは、徹底した管理下で養殖されたサーモンのみなのです。

まとめ

ここまでご覧いただければ、川魚を生で食べることの危険性がどれほど高いかを理解していただけたかと思います。川魚を食べる場合は、必ず焼くなどの加熱処理か冷凍処理を施しましょう。

それでも「どうしても川魚を生で食べたい」という場合は、川魚の生食を提供している専門店で食べることができます。また、通販で生食用川魚が販売されている場合もあります。

自分で捕獲した川魚の生食は絶対にNG、専門店を経由した川魚の生食はOK、ということを徹底するようにしましょう。

 

ざっくりポイント
・川魚を生で食べてはいけない理由は、川魚の多くは寄生虫を体内に持っており食べると感染する危険性が非常に高いから
・川魚にすむ寄生虫の主な種類は顎口虫、肝吸虫、横川吸虫
・川魚を食べる際は、加熱処理か冷凍処理を必ず行う
・酢などの調味料処理は寄生虫は死滅しない
・養殖の川魚は寄生虫リスクは低いが、100%安全ではない
・海水魚にもアニサキスなどの寄生虫がいる可能性はあるので注意が必要
・サーモンは寄生虫リスク排除を徹底しているため生食が可能
・どうしても川魚の生食をしたい場合は専門店で
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