私たちの生活に馴染みのある青魚。アジやサバ、イワシなど手が届きやすい価格で食卓に並ぶことも多く、市場でもよく見かける魚ですね。
そんな青魚ですが意外と分からないことが多く「そもそも青魚とは何なのか?」という疑問を抱いている人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、青魚について①定義、②種類一覧、③背中が青い理由、④赤身魚や白身魚との違い、⑤劣化が早い理由、について徹底解説していきます。
ぜひ、最後までご覧ください。
青魚の定義とは?
開始早々「?」となるかもしれませんが、青魚には学術的な定義は存在していません。
どういうことか。実は青魚とは、背中が青い魚の総称なんです。
じゃあ背中が青色の魚は全て青魚なのでしょうか。答えはYESでもありNOでもあります。
この他にもいくつか共通項があり、特に以下に該当する魚が「青魚」と呼ばれることがあります。
・お腹が白い魚
・基本的に価格が安く大衆的な魚
・あしが早く、すぐ腐ってしまう魚
青魚と呼ばれる魚はこれら全ての特徴を満たす必要はないため、人によって「背中が青いからこの魚は青魚だ」「この魚は高価格だから青魚ではない」と意見が分かれることもしばしばあります。
このように青魚に対する確固たる定義は存在しないため、一般論として背中が青色の魚が青魚と覚えておきましょう。
青魚の代表的な種類
次に、代表的な青魚と呼ばれることの多い魚を紹介していきます。
スズキ目の青魚
青魚の中でも、特に代表的なものはスズキ目に分類されています。
例えば、スズキ目サバ科に該当する青魚はサバ・サワラなど、スズキ目アジ科に該当する青魚はアジ・ブリなどが挙げられます。
特にサバとアジは代表的な青魚なので、青魚といえばこの2匹が思い当たる人も多いのではないでしょうか。
ニシン目の青魚
ニシン目の中にも、青魚と呼ばれる個体は多く存在します。
特に有名な青魚としてニシン目ニシン科に該当する魚は、ニシン・イワシなどが挙げられます。
他にも、日本国内で最も漁獲量が多い魚カタクチイワシも、ニシン目カタクチイワシ科に分類される青魚です。
ダツ目の青魚
ダツ目には、ダツ目サンマ科のサンマ、そしてダツ目トビウオ科のトビウオが青魚として分類されます。
数は少ないですが、どちらも有名な青魚です。
カツオとマグロは青魚に分類されるのか
先ほどは紹介していませんが、カツオとマグロもスズキ目サバ科の青魚として挙げられることの多い魚です。
しかし”大衆魚”かと言われると判断に迷うところであり、よく意見が分かれる魚であるため紹介を避けました。もっとも、”大衆魚”の定義も曖昧であるため、カツオとマグロも青魚の一種ということで問題はないでしょう。
青魚の種類に関しては「【画像と一覧表付き】代表的な青魚の種類を紹介!~目・科~」でより詳細に解説しているので、ぜひご覧ください。
なぜ青魚の背中は青いのか?
次に、なぜ青魚は決まって背中が青くお腹が白いのかについて解説します。
青魚が青と白である理由は、外敵から身を守るための保護色と言われています。
背中が青いのは、鳥などに空から見られた時に海の色に同化するためであり、お腹が白いのは海中の外敵が上を見上げた時に太陽光の色と同化するためです。
魚には多種多様な体の色がありますが、青魚が揃って同じ色をしているのは、自身を守るために生存戦略ということです。
よく混同する疑問「赤身魚と白身魚と青魚の違い」
ここで、青魚に触れる際によくある疑問「赤身魚と白身魚と青魚の違いは何なのか」を解説していきます。
まず大前提として、青魚は学術的な分類ではないのに対し、赤身魚と白身魚はしっかりとした定義があります。そのため“赤身魚・白身魚”と青魚は、分類として同列で分けることができません。
赤身魚の定義は、筋肉100gの中に色素タンパク質の含有量が10g以上の魚です。対して白身魚の定義は、筋肉100gの中に色素タンパク質の含有量が10g以下の魚です。
一方、前述した通り青魚は基本的に背中が青色であれば青魚となります。つまり、例を挙げるとブリは筋肉100gの中に色素タンパク質の含有量が10g以上あるので赤身魚であり、同時に背中が青色なので青魚と呼ばれます。
したがって「ブリは白身魚か?赤身魚か?」という質問には「赤身魚」と答えることができますが、「ブリは赤身魚か?青魚か?」という質問には「どちらもYES」ということになります。
補足ですが、青魚は赤身魚に該当する魚が多いことから、青魚の条件に「赤身魚であること」が含まれることも少なくありません。
なぜ青魚は劣化が早いのか
最後に、青魚の劣化が早い理由を解説します。
その理由はいくつかありますが、大衆魚が多く大量に捕獲するため丁寧な処理ができないことが主な理由として挙げられます。
ブリやマグロなどの比較的大型の青魚はこれに含まれませんが、アジやサバなどの小型回遊魚は網を使って一気に捕獲します。そのため一匹一匹処理する手間がかけられず、その分劣化が早くなってしまうのです。
加えて、青魚にはヒスチジンというアミノ酸を多く含んでいます。そして、ヒスチジンは魚の劣化に伴ってアレルギー物質であるヒスタミンへと変化し、食べてしまうと食中毒を引き起こしてしまいます。
一方で、竿で釣り上げて処理をきちんと行った場合は良い状態を保つことができるので、小型回遊型の青魚でも鮮度は良く食べることができます。
青魚のまとめ
いかがでしょうか。
ここまで読んでいただけると、青魚についての疑問点はほとんど解消されたのではないでしょうか。
青魚は私たちの生活に親しみのある魚であり、かつ日本の食文化を支えている魚種も多いです。
加えて栄養価も高いことから、老若男女問わず積極的に食べてみてはいかがですか。
・青魚の条件
└背中が青い魚
└お腹が白い魚
└基本的に価格が安く大衆的な魚
└あしが早く、すぐ腐ってしまう魚
・学術的な定義はないため、論によって判断が異なる場合がある
・”赤身魚/白身魚”と青魚は並べて分類わけできない
・青魚は大衆魚が多く大量に捕獲するため丁寧な処理ができないため劣化が早い