猫が食べ物を求めて来たからといって、どんなものでも食べさせていいわけではありません。
特に「猫は魚が好き」というイメージがある日本では、ついつい魚を食べさせてしまいたくなります。
しかし魚の中には、猫が食べると健康を損なってしまう種類も存在することをご存知でしょうか。
そこで本記事では、猫に食べさせてもいい魚・食べさせるのはよくない魚を一覧で紹介していきます。
大切な猫ちゃんのため、ぜひ最後までご覧いただき全てを把握していただけますと幸いです。
※猫には「チキン」と「サケ」がおすすめの二大食材です。以下もあわせてご覧ください。
・猫に食べさせてもいい魚の種類を知りたい方
・猫に食べさせるのはよくない魚(魚介類)の種類を知りたい方
・猫に食べさせてもいい魚を与える時の注意点を知りたい方
【OK】少量であれば猫に食べさせてもいい魚の種類
まず最初に、猫に食べさせてもいい魚の種類を紹介します。
猫が食べても問題ない魚は以下です。
・かつお
・白身魚(タイ・ヒラメ・タラなど)
まぐろ
まぐろは、猫が食べても問題ない魚です。生の刺身でも構いません。
まぐろは豊富なタンパク質を含む食べ物であり、タンパク質を多く摂らなければならない猫にとっては適した食べ物といえるでしょう。また、猫は体内でタウリンを生成できないため、タウリンを含むまぐろは健康にも良いです。
ただし、まぐろを与える際には以下の5点を必ず徹底するようにしましょう。
①与え過ぎない
②アレルギー反応に注意する
③醤油などで味付けをしない
④鮮度が悪いまぐろは食べさせない
⑤まぐろのトロ部分は食べさせない
特に①に関しては、肥満やチアミン欠乏症・黄色脂肪腫が発症する恐れがあります。
猫にまぐろを食べさせてもいいが注意しなければならない点があるということを覚えておきましょう。
※以下の記事で、注意点など詳細を解説しています。参考にご覧ください。
かつお
かつおも、猫が食べてもいい魚です。こちらも生の刺身でも構いません。
ただし、まぐろと同様に注意点があります。以下4点です。
①与え過ぎない
②アレルギー反応に注意する
③醤油などで味付けをしない
④鮮度が悪いかつおは食べさせない
特に④に関しては、まぐろ以上に注意してください。かつおは「アニサキス」という寄生虫が潜んでいる可能性が高い魚です。アニサキスが潜んでいるかつおを猫が食べてしまうと、嘔吐・下痢や激しい痛みを感じることになってしまいます。
これらに注意すれば、猫にとってかつおは豊富はたんぱく源になります。食べたそうに見ていたら、与えてあげましょう。
白身魚
タイ・ヒラメ・カレなどの白身魚も、猫に食べさせて構いません。
白身魚はキャットフードの主原料として使用されることも多く、高タンパク・低カロリーなのが特徴です。
また、白身魚にはチアミン欠乏症の原因となるチアミナーゼの含有量が赤身魚よりも少ないため、その点ではリスクが低くなります。
もし猫に食べさせる魚で迷った場合には、白身魚を選ぶことを強くおすすめします。
まぐろ・かつお・白身魚を食べさせる際のポイント
ここまでで分かる通り、まぐろ・かつお・白身魚は猫に食べさせても良い魚です。
しかし注意点が複数あるため、それらは必ず守りながら食べさせてあげましょう。
また食べさせる際には、生の刺身よりも焼く・茹でるなど加熱処理をした方が好ましいです。
その理由としては、①アニサキス寄生虫を死滅させることができる ②チアミン欠乏症を予防できる の2点が挙げられます。
①に関しては、アニサキスは火を通すことで100%死滅するからです。そのため、アニサキスを見落としていた場合でも、リスクがなく食べさせることが可能です。
②に関しては、チアミン欠乏症の原因となる「チアミナーゼ」は、加熱することで不活性化するからです。
加熱処理には手間がかかりますが、大切な猫ちゃんのため。できるだけ焼く・茹でるといったひと手間を加えてあげるようにしてください。
【NG】猫に食べさせるのはよくない魚(魚介類)の種類
次に、猫に食べさせるのはよくない魚(魚介類)の種類を紹介します。
猫が食べてはいけない魚は以下です。
・イカ
・タコ
・甲殻類(エビ、カニ)
1つずつ、詳細に見ていきましょう。
青魚
猫に食べさせてはいけない魚介類の1種目は青魚です。生の刺身はもちろん、加熱処理をしてもNGです。
青魚とは背中が青く・お腹が白い特徴を持つ魚のことで、身近なものとしてはアジ・サバ・ブリ・サワラ・イワシなどが挙げられます。※定義が曖昧なため、まぐろやかつおが青魚に含まれる場合もありますが、本記事では両者は該当しないものとします。詳細はこちら。
青魚には、DHA・EPAといった「不飽和脂肪酸」がとても豊富に含まれています。人間にとっては血液がサラサラになるなどの良い効果がありますが、猫にとっては「黄色脂肪腫」の発症に繋がるリスクが伴う栄養素です。
DHA・EPAは少量であれば猫が摂取することは健康にも良いです。しかし体が小さい猫に対して、青魚には「不飽和脂肪酸」が多すぎるため、絶対に食べさせないようにしてください。
イカ
猫に食べさせてはいけない魚介類の2種目はイカです。
「猫はイカを食べると腰を抜かす」という言葉を聞いたことがありませんか?これはイカを食べさせた人が、食後の猫がフラフラ歩いているのを見てできた言葉といわれています。
猫が腰を抜かしたようにフラフラ歩くのは、イカに含まれるチアミナーゼが原因です。イカにはチアミナーゼが豊富に含まれており、猫が過剰摂取してしまうと「チアミン欠乏症」が発症します。
チアミン欠乏症が発症した猫は、ふらふらと歩くような症状を見せることが多いため、腰を抜かしたように歩いていると表現がされたのです。
このチアミナーゼは加熱処理することで不活性化するため、チアミン欠乏症を予防することができます。しかし、イカは非常に消化吸収が悪い食べ物です。胃腸が小さな猫がイカをたくさん食べてしまうと、消化不良を起こし嘔吐・下痢に繋がる可能性もあります。
大前提、イカは加熱すること。そして、できることなら少量でも食べさせないようにしてください。
タコ
猫に食べさせてはいけない魚介類の3種目はタコです。
タコにはイカと同じように、チアミン欠乏症の原因となるチアミナーゼが多く含まれているため、少量でも食べさせるのは避けてください。
また、チアミナーゼは加熱処理をすることで不活性化させることができますが、タコは消化が悪い食べ物であるため嘔吐・下痢に繋がる恐れもあります。さらに、茹でダコは硬い食べ物なので喉に詰まってしまう可能性も否めません。
生のタコは食べさせないこと。そして加熱処理をしたタコでも、消化が悪いため食べさせるのは避けるようにしてください。
甲殻類(エビ・カニ)
猫に食べさせてはいけない魚介類の4種目はエビやカニなどの甲殻類です。
こちらもイカやタコと同様に、チアミナーゼを多く含む食べ物です。少量でもチアミン欠乏症が発症する可能性があるため、生で食べさせるのは避けるようにしてください。
また加熱することでチアミン欠乏症のリスクを抑えることもできますが、エビやカニは消化が良いとは言い難い食べ物です。こちらも消化不良に繋げないために、できるだけ食べさせないようにしましょう。
その他、魚に関連する食べ物のOK・NG
ここからは、魚に関連する食べ物の中から猫に食べさせてもいいかどうかを解説します。
本記事で紹介するのは以下の3つです。
・かつおぶし
・魚の骨
それぞれ見ていきましょう。
魚肉ソーセージ
魚肉ソーセージは、猫に食べさせてはいけない食べ物です。
その理由としては、塩分過多・添加物・香辛料・タマネギの4点が挙げられます。
特に塩分に関しては、過剰に摂取すると腎臓病などを発症するリスクがあります。魚肉ソーセージなどのような「練り物」には多くの塩分が含まれているため、体の小さな猫にとっては危険です。
またタマネギに関しては、ほんの少量でも入っている魚肉ソーセージは猫に食べさせてはいけません。猫にとって、タマネギやニラなどのネギ類は絶対NGな食材です。
しかし魚肉ソーセージは、惹かれるにおいがするように香辛料などで加工されているため、猫が興味を持つことが少なくありません。「目を離した隙に食べていた」ということがないように、取り扱いには細心の注意を払うようにしてください。
かつおぶし
かつおぶしは、猫が食べること自体は問題ない食べ物です。かつおを原料とし、かつ加熱処理をしているため問題ない理由は頷けますね。
ただし、多量に食べさせるのは避けるようにしましょう。
かつおぶしには、ミネラルや塩分が多く含まれています。過剰摂取すると、尿路結石や腎臓関連の病気を発症してしまう可能性があります。
もしかつおぶしを食べさせてあげる場合には、猫用かつ減塩処理がされているかつおぶしを与えてあげましょう。人間用はあくまで人間用です。体のつくりが大きくことなる猫に食べさせるのはリスクが高くなります。
かつおぶしは食べさせても問題ないが、猫用・減塩処理されたものを少しだけ食べさせることを意識してください。
魚の骨
魚に関連して、魚の骨も猫にとってはリスクの1つとなります。
猫は噛む力が強くありません。そのため、魚の骨は噛み砕かずそのまま飲み込むことになるため、喉に刺さってしまう恐れがあります。
まぐろ・かつお・白身魚を食べさせる際には、必ず魚の骨を取り除いてから与えるようにしてください。その際、茹でるなどの加熱処理をすれば、身がほぐれて骨が取り除きやすくなるためおすすめです。
もし魚の骨が残っていた場合などで、魚を食べた後に猫の口が開いたままになっている、何かを吐き出そうとしている、などの様子が見られたら、骨が刺さっているかもしれません。その場合は、できるだけ動物病院で診てもらい、適切な処置を施してあげましょう。
猫に魚はリスクあり!なぜ「猫は魚好き」というイメージが定着した?
ここまで読んでいただければ分かる通り、猫にとって魚はリスクが伴う食べ物です。まぐろやかつおといった、食べても問題ない魚もいますが、それでもいくつか注意点を守らなければなりません。
にもかかわらず、なぜ「猫は魚が好き」というイメージが定着したのでしょうか。
実はこのイメージは日本国内のみで定着しており、その他の大多数の国では「猫は肉が好き」とされています。
そんな中で魚好きというイメージが定着した経緯は江戸時代にあります。日本は江戸時代が終わるまで牛肉や鶏肉ではなく魚をメインとして食べる「魚食文化」でした。その中で、当時の将軍徳川綱吉が『生類憐みの令』を発令。生き物の殺生を禁じたことで、繫殖力の強い猫が急速に増えると同時に、当時ありふれていた魚の余りを猫が食べさせてもらっていたため、「猫は魚が好き」というイメージが定着したとされています。
猫には魚よりも肉を食べさせてあげよう!
このように日本人が定着させたイメージにより、猫に魚を与える機会が増えました。しかし、猫はもともと鳥やネズミなどの小動物を主食として生きていく動物です。泳ぐことを得意としない猫にとっては、魚は狙っている獲物ではありません。
やはり本来主食として食べていた「肉」を食べさせてあげることがおすすめです。魚に比べて、寄生虫や病気のリスクも圧倒的に少ないうえに、魚よりも好んで食べるという実験結果も出ているほどです。
猫は離乳してから数カ月で好みが決まります。その際に、魚ではなくしっかり茹でた肉、またはそれらを原料とするおやつを食べさせるようにしてあげましょう。そうすることで、生涯を通して肉が好きになってくれる可能性が高いです。また、大きくなってからでも肉を食べさせてあげる習慣をつけることで、肉を好むように変わる場合もあります。
おすすめ食材は「チキン」と「サーモン」
「肉」といっても牛肉・豚肉・鶏肉がありますが、中でも鶏肉がおすすめ。また、魚の中でもサーモンは例外で、むしろ強くおすすめしたい猫の食材です。
大切な猫ちゃんのご飯で迷ったら、チキンとサーモンがおすすめの二大食材だと覚えておきましょう。その理由は、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
・猫に食べさせてもいい魚はまぐろ、かつお、白身魚
・猫に食べさせるのはよくない魚は青魚、イカ、タコ、エビ、カニ
・魚肉ソーセージは食べさせない方がいい
・かつおぶしを与える時は「猫用」「減塩」を
・魚の骨は猫にとってリスク。必ず取り除く。
・猫は本来肉好き。リスクの高い魚よりもできれば肉を食べさせよう