魚は有名な産地で食べるのが一番美味しいと感じたことはありませんか?
そのように感じる理由としては、
・水揚げされたばかりの新鮮な魚が食べられるから
・「本場で食べている」という雰囲気によって、より美味しく感じるから
・その地域の人々の舌は肥えており、美味しくない店や食べ方は淘汰されていくから
の三点があるからではないでしょうか。
なので、当サイトを通してぜひみなさんに一番美味しい場所で魚を食べていただきたい。
こういう想いから始めた、日本の魚の名産地を紹介するシリーズ。
今回は、吊るし切りが有名な「あんこう」を紹介します。
あんこうといえば茨城県!

「西のフグ・東のあんこう」とも称されるあんこうは、茨城県が名産地とされています。
茨城県内にはあんこう料理を提供している飲食店が各地に点在しており、地域によって特徴も異なります。
また、あんこうといえば伝統の技・吊るし切りです。この吊るし切りは茨城県の冬の名物として知られています。
あんこうは骨・あご・眼球以外全てを食べることができ、あんこうの可食部位である身・肝・皮・胃袋・卵巣・エラ・ヒレは「あんこうの七つ道具」と称されるほど。
グロテスクな見た目こそしていますが、あんこうは茨城県民にはなくてはならない存在となっています。
ブランド紹介「茨城あんこう」

「あんこうのブランド化推進委員会」が制定している基準を満たした茨城県産のあんこうは「茨城あんこう」としてブランド化されています。
茨城あんこうの基準は以下。
・2kg以上の個体のもの
・県内の5トン以上の船底びき網漁業者によって漁獲されているもの
・魚体の傷が体表面の1割以下であるもの
また、ブランドに傷が付かないように、認定された業者には以下のような厳格な取り扱い方が指定されています。
・漁獲後船上で内臓などを取り除き、きれいな海水で洗い流す
・2℃前後の海水に漬けてタルで保管する
・市場ではパレット、タル、カゴに入れて陳列する
・タグは結束バンドを使い、下あごの中央部に取り付ける
これらの基準をクリアしたあんこうが、厳格な取り扱いをされて私たちに届けられているので、茨城あんこうは質の高いものとして認知されることになりました。
茨城県のあんこうの食べ方
茨城県であんこうを食べるなら、地元漁師が生み出した「どぶ汁」と冬の風物詩「あんこう鍋」がおすすめです。
あんこう鍋

あんこう鍋は茨城県を代表する郷土料理で、あんこうの七つ道具をメイン具材として、野菜やスープを鍋で煮込んだ料理のことを指します。
味付けや具材は地域や店舗ごとに特色がありますが、醤油ベースか味噌ベースのスープが一般的とされています。
茨城県内でも、特に北茨城市・水戸市・ひたちなか市・日立市・大洗町の5市町があんこう鍋が盛んな地域と言われており、提供している飲食店も多いです。
茨城県を訪れた際には、まずはあんこう鍋を食べてみることをおすすめします。
どぶ汁

どぶ汁とは、ざっくり切ったあんこうの可食部位と野菜から出た水分のみで調理する料理です。味付けはキモと味噌だけで、非常に濃厚な風味となります。
もともとは漁師が船上で水を節約するために生み出した漁師めしが起源とされており、体によく栄養価が高い特徴を持ちます。
一方でスープを使用せずコクが強すぎるため、飲食店で提供されているものはスープを少量使用することが多いようです。
あんこうの名産地だからこそ生まれたどぶ汁は、あんこうを楽しむには最適。
ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。
茨城県であんこうを食べるならここ!
茨城県は県内各地にあんこうを食べられる地域がありますが、その中でも厳選した2地域を紹介します。
北茨城市平潟町

北茨城市平潟町(以下:平潟町)は、茨城県北部に位置する港町です。
アワビやウニ、タイなどの海産物が有名ですが、平潟町は日本有数のあんこうの名産地として知られています。
そんな平潟町は、茨城県の郷土料理「どぶ汁」発祥の地といわれており、茨城県の文化を創ったルーツといえます。
また、旅館や民宿も多数点在しており、目の前の漁港で水揚げされたあんこうを使った様々な料理を食べることができます。
茨城県でどこを訪問するか迷った際には、あんこうを求めて平潟町へ行くのがおすすめです。
大洗町

大洗町は茨城県中央部に位置し、海に面した地域です。
町内にはあんこう鍋をはじめとするあんこう料理を提供している店が多く、それぞれの特色が出てどこの店選べばいいか困るほど。
そんな大洗町では、あんこうの旬が始まる毎年11月中頃に「大洗あんこう祭り」というイベントが開催されています。
この祭りでは多くのあんこう料理を楽しめるほか、会場内の特設ステージでは「あんこうの吊るし切り」を見学することができます。
「あんこうが好き」「あんこうを食べてみたい」「茨城県のあんこう文化を味わいたい」という方には最適なので、時期を合わせて足を運んでみてはいかがでしょうか。
もちろん祭り以外の日程でも大洗町ではあんこう料理を楽しめるので、おすすめです。
おすすめの時期
あんこうを求めて茨城県を訪れるなら、11月下旬~3月上旬の冬がおすすめです。
なぜならあんこうの旬は冬とされており、寒い時期に捕れたほうが身が引き締まった状態で味が良いからです。また、あんこうの肝臓(アンキモ)も春の産卵に向けて肥大化しています。
寒い時期に本場で食べる旬のあんこうは格別なので、茨城県を観光するのであれば冬を狙ってみてはいかがでしょうか。