魚は有名な産地で食べるのが一番美味しいと思いませんか?
そのように感じる理由としては、
・水揚げされたばかりの新鮮な魚が食べられるから
・「本場で食べている」という雰囲気によって、より美味しく感じるから
・その地域の人々の舌は肥えており、美味しくない店や食べ方は淘汰されていくから
の三点があるからではないでしょうか。
なので、当サイトを通してみなさんに一番美味しい場所で魚を食べていただきたい。
この想いから始めた、日本の魚の名産地を紹介するシリーズ。
今回は、春と秋の味覚の王様「カツオ」を紹介します。
カツオといえば高知県
カツオの本場といえば、土佐の一本釣りで有名な高知県です。
高知県は面積の多くが太平洋に面しており、漁業が盛んな地域です。
その中でも、カツオは群を抜いて県民に浸透しており、県魚にカツオを指定するほど。
高知はゆず・ナスなどの農産物や、四万十ウナギなどの水産物も有名ですが、高知に行けばカツオを食べない選択肢はありません。
データで見る高知県とカツオの関係
では、カツオと高知県の関係をデータで見ていきます。
カツオ漁獲量
2018年の日本におけるカツオの漁獲量は、焼津港を有する静岡県が第1位、気仙沼港を有する宮城県が第2位となっており、両県だけで日本の約40%のシェアを占めています。
そして意外な結果ではありますが、高知県のカツオ漁獲量は第4位で、漁獲量のシェアはわずか10%ほど。
しかし、これにはカツオにこだわる高知県ならではの理由があります。
静岡県や宮城県などのカツオを捕る際には主に巻き網漁法を用い、大きな網で大量のカツオをまとめてすくいあげます。
対して高知県のカツオ漁法は一本釣りです。一本釣りは一匹一匹を釣り竿で釣りあげるので効率が悪くなってしまいますが、代わりに身を傷付けず品質を維持できます。
したがって、高知県は量よりも質を重要視しているため、漁獲量は上位の県と比較して劣ってしまっているのです。
この背景を理解すると、カツオ漁獲量が上位でなくても納得できますね。
カツオ消費量
次に、都道府県別カツオの消費量はいかがでしょうか。
こちらのランキングでは高知県が堂々の1位となっており、全国でも随一のカツオ消費県ということが分かります。
漁獲量上位の静岡県や宮城県のランキングは順位が落ちていることから、高知県は地元民もカツオを楽しみ、静岡県や宮城県は他の地域に卸すことを主な目的としているということになります。
高知県のカツオの食べ方
高知県でカツオを食べるなら、なんといっても藁焼きたたきです。
藁の豪快な炎でカツオを炙ることで出せる口いっぱいに広がる藁の香りは、バーナーでは到底まねできません。
また、カツオは鮮度が味を大きく左右する魚。古くなったカツオは生臭さが増すので、県外ではショウガをつけてごまかすことが多いですよね。
ですが、高知県で食べるカツオは鮮度抜群。全く生臭くないからこそできる、塩タタキも高知県では当たり前のカツオの食べ方です。
もちろんたたきはタレで食べても美味しいですが、せっかくなのでカツオの聖地だからこそ楽しめる”カツオの藁焼き塩たたき”を食べてみましょう。
高知県でカツオを食べるならここ!
高知県でカツオを食べるなら、ひろめ市場(高知市)と久礼大正町市場(中土佐町)がおすすめです。
ひろめ市場
「高知の観光地と言えばここ」といっても過言ではない、日々観光客で賑わっているひろめ市場。
高知県の食べ物は基本的にこの市場で食べることができ、昼からお酒と共に楽しめる市場です。
カツオを食べるなら、高知県民で知らない人はいないカツオの名店「明神丸」や「司」などで注文できます。
豪快な炎であぶる藁焼きの風景も見ることができ、高知の文化を表現した市場の中で食べる藁焼きたたきは格別です。
高知駅からも徒歩で行けるので、高知を観光する際は一度訪れてはいかがでしょうか。
久礼大正町市場
高知市から車で約50分の場所にある中土佐町久礼は、古くから漁業が盛んでカツオ漁が有名な港町です。
そんな文化的景観にも指定されている町並みの中心に、カツオのシンボルを光らせた久礼大正町市場があります。
50mほどの短いアーケードですが、複数の鮮魚店や気さくな店主がいる八百屋、お喋りな地元のおかみさんが出している露店などが連なり、高知県民にも人気の高い市場です。
久礼大正町市場でカツオを食べるなら、完全藁焼きのタタキにこだわった「山本鮮魚店」か、豊富な種類の魚を選んでその場で刺身にしてもらえる「田中鮮魚店」がおすすめ。どちらも高知県では名前が知られているカツオの名店です。
カツオにうるさい高知県民の中でも「久礼大正町市場のカツオは美味しい」と定評があるので、本場の中の本場である”久礼のカツオ”は一度食べることをおすすめします。
おすすめの時期
カツオを目的として高知県を訪れるなら、春~秋がおすすめです。
なぜならカツオは1年に2度美味しい時期があり、4月上旬~6月頃は初鰹、8月下旬~10月頃は戻り鰹と呼ばれる旬を迎えるからです。
それぞれ違った特徴があり、初鰹は脂がさっぱり、戻り鰹は脂が豊富で濃厚な味わいです。
この時期にはカツオを求めて高知県を訪れる観光客が増え賑わうので、高知県を訪れる際はこちらの時期を狙うとより楽しめますよ。