川(淡水)で産まれた後、川をくだって海(海水)で成長し、再び川(淡水)へと戻ってくるサケ。
基本的に魚は海水か淡水、どちらかでしか生きていくことができません。
であるにもかかわらず、なぜサケはどちらの環境でも生きていけるのでしょうか。
本記事では、こちらについて解説していきます。
サケが海と川で住み分けている理由
そもそもなぜ、サケは海と川を行き来するのでしょうか?
この行動原理は全て「産卵」に理由があります。
サケが川で産まれて海へ渡る理由は、産卵に消費するエネルギーを豊富なエサがある海で蓄えるためと言われています。
特に、サケは寒い時期に川の上流で孵化するため、産まれた場所ではエサが少なく成長に必要な栄養が不足しています。なので、海へ渡るのはやむを得ない事情だということになります。
対して、わざわざ川に戻ってくる理由は、卵を守るうえで海よりも川上の方が安全な場所だからです。
天敵も少なく、かつ大きく荒れることも少ない川上は海よりも安全です。ただでさえ卵から成魚になれる確率は数%なので、その確率を少しでも上げるためには川は最適な場所、ということです。
サケが海でも川でも生きられる理由
本題に入ります。
サケは淡水で孵化することや卵の数、卵の質量から推測されるに、淡水魚に属していると言われています。
そんな淡水魚であるサケが海と川のどちらでも生きられる理由は、淡水魚の浸透圧調整機能に加えて海水魚が持つ浸透圧調整機能も有しているからです。
淡水魚が淡水で生きていけるのは、大量の尿をすることで余分な水分を体外に排出する機能を有しているからです。
少し具体的に説明すると、魚は淡水にいると浸透圧の関係で体外から体内へと水分が入ってきます。それでは水分過多で死に至るので、淡水魚は大量の尿をすることで水分量を調整しています。
一方で、海水魚が海水で生きていけるのは、塩分をエラを使って体外に排出する機能を有しているからです。
魚は海水にいると浸透圧の関係で体内から水分が出ていってしまいます。
それでは水分不足で死に至るので、海水魚は水を大量に飲み、同時に入ってくる塩分をエラを通して体外に排出することができるため、海水でも生きていくことができます。
このようにほとんどの魚はどちらかの機能しか持っていないため、それを活かすことができる海水か淡水で生きる道を選びます。
しかしサケは例外で、淡水魚であるにもかかわらず、海水魚が持つエラを通した塩分排出機能も有しているため、海での生活も可能となっています。
普通の魚とは一味違うサケ
サケは海と川で暮らせることに加えて、自分の故郷である川を確実に覚えていたり、産卵後には死に至る習性を持っていたりと、他の魚が持っていない特徴を持っています。
まだまだ解明されていないことも多いサケですが、行動原理は解明されつつあります。
知れば知るほど面白い特徴を持っているので、他にもサケについて調べてみてはいかがでしょうか。
これらを通して「サケってすごい。生物って面白い。」と感じてもらえると幸いです。
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・本来魚は海水か淡水どちらかでしか生きられない
・サケは淡水魚と海水魚どちらの機能も持っている
・淡水魚の機能とは、エラを使って塩分を体外に出ていかないようとどめる機能と、大量の尿をすることで余分な水分を体外に排出する機能
・海水魚の機能とは、体内に入ってくる塩分をエラを使って体外に排出する機能