たくさんの種類が存在する魚の中でも、青魚は私たちの生活に身近な存在です。
ですが、種類が多すぎてどれが青魚に該当するか分からなくなりませんか?
そこで本記事では、代表的な青魚の種類を生物学上の「科」ごとに分けて紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
そもそも青魚って?
本題に入る前に、そもそも「青魚」とは何かを理解しておきましょう。
実は「青魚」というのは、学術的な定義がされている分類ではありません。
そのため対象となる魚が人によって異なる場合がありますが、一般的には以下の特徴を持つ魚が該当するとされます。
・背中が青い魚
・お腹が白い魚
・基本的に価格が安く大衆的な魚
・あしが早く、すぐ腐ってしまう魚
青魚に分類される魚はこれら全ての特徴を満たす必要はありません。
しかし、青魚は別名「青背魚」と呼ばれるくらいなので、背中が青い特徴というはほとんど全ての青魚が有しています。
青魚の種類一覧表【目/科】
まずはこちらの表をご覧ください。
代表的な青魚には大きく分けて「スズキ目」「ニシン目」「ダツ目」に分類され、そこから枝分かれする形で「科」ごとの魚に分類されていきます。
まずはこの分類の仕方を覚えてから次に進むと、よりスムーズに理解できると思いますよ。
では、一匹一匹の解説にうつります。
代表的な青魚の種類①:サバ科
最初に紹介するのは、サバ科に分類される代表的な青魚です。
「青魚といえばサバ科」といっても過言ではないほど、有名な青魚ばかりです。
サバ(鯖)
サバは”スズキ目>サバ亜目>サバ科”に分類される魚です。
日本で食用として流通しているのは「マサバ」「ゴマサバ」「ノルウェーサバ」の3種類。
青い背中のトラ模様が特徴的で、簡単に見分けることができます。
特にサバは、青魚の特徴4つの全てを満たす代表的な青魚の1種です。
サワラ(鰆)
サワラもサバと同様、”スズキ目>サバ亜目>サバ科”に分類される魚です。
成長によって名称が変わる出世魚の一種でもあり、小さいサワラは「サゴチ」や「サゴシ」と呼ばれます。
青い背中と白いお腹の境目に黒い斑点があるのが特徴で、青魚の中では比較的大きい体をしています。
代表的な青魚の種類②:アジ科
2番目に紹介するのは、アジ科に分類される代表的な青魚です。
こちらもサバ科に並んで有名な青魚ばかりなので、おさえておきましょう。
アジ(鯵)
アジは、”スズキ目>スズキ亜目>アジ科”に分類される魚で、サバと同様に代表的な青魚の一種です。
アジには数百種類以上存在しますが、日本で「アジ」というと一般的には「マアジ」のことを指します。
マアジの他に日本で食用として流通しているアジの仲間は、「ムロアジ」「シマアジ」「マルアジ」など。
日本中どこにでも分布していることから、釣りのターゲットとしても人気です。
ブリ御三家
ブリ御三家とは、(1)ブリ、(2)カンパチ、(3)ヒラマサの総称で、”スズキ目>スズキ亜目>アジ科”の中でも同じブリ属に分類されます。
その中でも特にブリは代表的な青魚の一種ですが、成長によって名称が変わる出世魚なので、意外と知られていません。(写真はブリです)
また、ブリ御三家は見た目が似ているので見分けるのが困難ですが、ポイントをおさえれば誰でも違いが分かるようになります。
代表的な青魚の種類③:ニシン科
3番目に紹介するのは、ニシン科に分類される代表的な青魚です。
こちらも、聞いたことがある魚ばかりではないでしょうか。
ニシン(鰊)
ニシンは、”ニシン目>ニシン科”に分類される青魚です。
主に低水温海域に生息しており、春が近付くと産卵のために浅瀬に寄ってくることから、「春告魚(はるつげうお)」と称されます。
海水温が高い西日本ではあまり知られていない青魚ですが、青魚の特徴は全て満たしている魚です。
イワシ(鰯)
イワシもニシン同様、”ニシン目>ニシン科”に分類される青魚です。
単に「イワシ」というとマイワシを指すことが多いですが、同じニシン科にはウルメイワシも存在しています。
イワシは漁獲量がその他の魚に比べても多く、缶詰などの加工品に使用される頻度が高い、大衆魚という名がよく似合う青魚です。
キビナゴ
キビナゴも、”ニシン目>ニシン科”に分類される青魚です。
腐敗するまでがとても早いため、生で見ることはほとんどなく、多くが加工された状態で流通します。
青魚の中でも、サイズが極めて小さいのが特徴です。
その他の青魚の種類
ここからは、これまで紹介してきた青魚の他にも、有名な魚をピックアップして紹介していきます。
サンマ科:サンマ(秋刀魚)
サンマは、”ダツ目>ダツ上科>サンマ科”に分類される、大衆魚としての青魚の代表格です。
秋の味覚としても知られており、毎年サンマの水揚げ量はニュースに取り上げられるほど注目されています。
近年水揚げ量が右肩下がりではありますが、缶詰などの加工品では一年を通して楽しむことができます。
タチウオ科:タチウオ(太刀魚)
タチウオは、サバ科と同じく”スズキ目>サバ亜目”に属していますが、その中でも”タチウオ科”に分類される青魚です。
漢字表記では「太刀魚」となり、文字通りその見た目が日本刀の太刀に見えることからその名前が付きました。
青い背中が目立たず全身が銀色に見えるので青魚と思わない人も多いですが、タチウオもれっきとした青魚です。
トビウオ科:トビウオ(飛び魚)
トビウオは、”ダツ目>トビウオ科”に分類される青魚です。
その特徴は何といっても体の側面に生えた翼で、時速約60kmで約300m~500mも飛ぶことが可能。
九州地方では「あご」と呼ばれ、出汁として使用されることが多いです。
カタクチイワシ科:カタクチイワシ(片口鰯)
カタクチイワシは、”ニシン目>カタクチイワシ科”に分類される青魚です。
マイワシやウルメイワシは”ニシン科”に属しているので、「科」が異なります。また、マイワシなどに比べて小型なのが特徴的。
カタクチイワシの稚魚はしらすやちりめんとして親しまれており、成魚よりも高値で流通しています。
マグロとカツオは青魚なのか?
次に、青魚の種類を語るうえで外せない存在であるマグロとカツオに触れていきます。
マグロとカツオは、青魚の一種とする場合と、青魚の一種ではないとする場合がある魚です。
背中が青くお腹が白い点では青魚の一種としても違和感はないですが、大衆魚かといわれると悩ましいところです。
青魚は学術的な定義があるわけではないため、しばしばこのような議論はされます。
答えがないため、マグロやカツオを青魚とするのも、青魚としないのも、どちらでも正解です。
自分の思う方へと分類して、使い分けるようにしましょう。
青魚を食べたらアレルギー反応が起きる?
ここまで紹介したように、青魚は私たちの生活に親しみのある魚ばかりです。
ですが注意が必要な点があり、青魚は比較的食中毒を起こしやすいということです。
詳しく解説します。
青魚を原因とする「ヒスタミン食中毒」
青魚を食べるとアレルギー反応に似た症状を起こすことがあり、これを「ヒスタミン食中毒」といいます。
ですが、青魚自体がアレルギー源を有しているわけではなく、青魚内で発生した「ヒスタミン」を多量に食べることでで起きる症状です。
したがって、アレルギー体質か関係なく、誰でも「ヒスタミン」を食べると起こる可能性があります。
青魚の体内で「ヒスタミン」が発生する流れとしては、
(1)漁獲する際に、青魚に傷が着く
(2)傷から「ヒスタミン産生菌」という菌が侵入する
(3)「ヒスタミン産生菌」が青魚内の「ヒスチジン」というアミノ酸に付着する
(4)青魚の体内に「ヒスタミン」が大量発生する
(5)青魚を食べることで「ヒスタミン」に対してアレルギー反応へと繋がる
というものが挙げられます。
「ヒスタミン」が発生する可能性が高いのは、特に血合いが濃い青魚で、サバはその代表格です。
そして厄介なことに、この「ヒスタミン」は加熱処理をしても除去することができません。
「ヒスタミン食中毒」を起こさないために
「ヒスタミン食中毒」を起こさないようにするために我々消費者ができることは、青魚を購入した後常温で置いておかないことです。
もし常温保存をしてしまい、青魚の鮮度が低下してしまったら、食べないようにしましょう。
また、「ヒスタミン産生菌」は消化器官やエラに多く存在します。青魚を丸々一尾購入した場合は、すぐ取り除くようにしましょう。
【栄養満点】青魚は積極的に食べよう!
このように「ヒスタミン食中毒」が起こる可能性がある青魚ですが、怖いからといって避けるのは非常にもったいないです。
青魚には、DHAとEPAという健康を維持するために欠かせない必須脂肪酸が多く含まれています。そして、これらは人間の体内では生成することができないため、食事から摂るしかありません。
青魚には食べても美味しい魚ばかりなので、敬遠することなく積極的に食べるようにしましょう。
※補足
DHAとEPAは、調理過程でその多くが逃げ出してしまいます。
DHAとEPAは、調理過程でその多くが逃げ出してしまいます。
美味しく食べて摂取できるに越したことはありませんが、効率よくDHAとEPAを摂るには缶詰などの加工品を食べるか、サプリメントを飲むことをおすすめします。
ざっくりポイント
・代表的な青魚
└サバ科:サバ、サワラ
└アジ科:アジ、ブリ御三家(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)
└ニシン科:ニシン、イワシ、キビナゴ
└サンマ科:サンマ
└タチウオ科:タチウオ
└トビウオ科:トビウオ
└カタクチイワシ科:カタクチイワシ
・青魚は「ヒスタミン食中毒」を起こす可能性がある
・青魚は栄養満点。積極的に食べるよう心掛ける。
・代表的な青魚
└サバ科:サバ、サワラ
└アジ科:アジ、ブリ御三家(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)
└ニシン科:ニシン、イワシ、キビナゴ
└サンマ科:サンマ
└タチウオ科:タチウオ
└トビウオ科:トビウオ
└カタクチイワシ科:カタクチイワシ
・青魚は「ヒスタミン食中毒」を起こす可能性がある
・青魚は栄養満点。積極的に食べるよう心掛ける。