【スイミーから学ぶ】なぜイワシは群れで泳ぐのか?

魚の雑学
この記事は約4分で読めます。

水族館や海の映像でよく見かけるイワシの群れ。迫力のある銀色の渦は一度見ると忘れられません。

ここで気になるのが、「なぜイワシは群れで行動しているのか」ではないでしょうか。

この疑問を説明できるのが、世界中で愛される絵本『スイミー』です。

子供の頃に多くの方が読んだことがあるこの本からは、教訓だけではなく多くのことを学ぶことができます。

その中のひとつが「なぜ魚は群れで行動するのか」なので、本記事でこちらをご紹介します。

スポンサーリンク

スイミーのあらすじ

本作の主人公は小さな魚スイミー。

小さな赤い魚の大家族の中に生まれたスイミーは、一匹だけ黒色の体を持ち、どの兄弟よりも速く泳ぐことができます。

ある日、大きなマグロがスイミーの家族を襲い、泳ぐのが速いスイミー以外は食べられてしまう。そして一匹だけ取り残されたスイミーは、海の中を一人寂しく冒険します。

そんな中、スイミーは家族と似た群れをなす赤い魚たちに出会いますが、その魚たちは「食べられてしまうのが怖い」という理由で岩陰に隠れて暮らしていました。

スイミーはその家族に「みんないっしょにおよぐんだ。うみでいちばんおおきなさかなのふりして。」と提案します。

そこで、みんな協力して大きな魚を形作り、一匹だけ黒い体のスイミーは目の役割を担い、大きな魚を追い返すことに成功します。

イワシが群れで泳ぐ理由

イワシが群れで泳ぐ理由も、賢いスイミーの考えと同じ外敵から身を守るためです。

群れを作ることで大きな生物に見せかけること、そして大群に紛れ自分自身が食べられる可能性を減らすことができ、結果的に身を守ることに繋がります。

魚に弱いとかいてイワシ(鰯)と読みますが、一匹だけでは海中の弱肉強食の世界では圧倒的に弱い分類になってしまう。

そこで、イワシは群れを作ることで自身の強さを底上げしているということになります。

戦いにおいて相手が多人数であれば少人数だと敵対できない、という意味のある「多勢に無勢」といった言葉もありますが、まさにイワシの戦略にぴったりの言葉ではないでしょうか。

イワシの群れにはルールがある

イワシの群れルール

また、イワシの群れにはルールがあります。それはどっちの方向に回転するのかが決まっていることです。

イワシは左回りか右回りに回転しながら群れを作り、一度その方向が決まってしまうと逆回転になることはありません。

このルールがあるので、水族館で見かけるイワシの群れは大きな銀色の渦を形成しているのです。

群れの秩序を乱すことなく、皆で協力できるのは見習うべき習性ですね。

(補足)イワシが群れで泳ぐその他の理由

イワシが群れで泳ぐのは、上記の通り外敵から身を守ることが主な理由です。

しかし、渦の流れに乗って消費エネルギーを節約する目的もあるということが近年の研究では定説になりつつあります。

群れが形成した渦の中には、一定方向の流れができています。その中に身を置くことで泳ぐ力を節約でき、その分ストレス軽減や体力温存することが可能です。

例えばイルカも消費エネルギーを節約するために船が作る波に乗っかりますが、イワシにも消費エネルギー節約するという本能が備わっているということになります。 

こちらもイワシが群れを形成する理由として大きな意味を持つので、併せて覚えておきましょう。

※イルカの習性については「【イルカがついてくる理由】なぜイルカは船に並走して泳ぐのか?」をご覧ください。

イワシ漁の仕組み

イメージ:巻き網漁

イワシの脅威は大きな魚だけではありません。

人間にとっても食用になるだけでなく、養殖のエサにすることができるため汎用性の高い魚として需要があります。

イワシ漁は、一隻の船が網を引っ張って捕獲する「巻き網漁」が基本的な漁法です。(画像参照)

他にも、二隻の船で網を引っ張って捕獲する「バッチ網漁」や、一定期間網を設置して網に誘導された魚を捕獲する「定置網漁」の漁法を使用します。

イワシは大群で固まって行動するので、船に搭載されている魚群探知機でイワシの群れを見つけさえすれば、一気に網で捕獲することができます。

そのため、イワシの群れをなす戦略は、人間にとっては悪い方に働いてしまうということになりますね。

ざっくりポイント
・イワシが群れで泳ぐ理由は”外敵から身を守るため”
・「大きな生物に見せかける」ことと「大群に紛れ自分自身が食べられる可能性を減らす」ことを目的としている
・イワシの群れがつくる渦はどっちの方向に回転するかのルールがある
・渦の流れにのって消費エネルギーを節約する目的もある
・イワシの群れは人間にとっては一気に捕獲することができるため好都合
タイトルとURLをコピーしました